徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 82

ページ: 82

翻刻

〳〵しやといふより早く八兵衛に飛 懸り八兵衛 冷笑(あさわら)ひ女のいらざる腕立(うでたて) 也と言ふざま一往一来馳違ひ上(うへ)に成り 下になり喰合しがお山は数刻の戦 ひに身心 労(つか)れたちろく所を八兵衛 得たりと付入〳〵難なくお山を 取ておさへ首 筋(すじ)したゝか喰付 力(ちから)に 任せてふりしゆへさすがのお山も労(つかれ) はて終に八兵衛の為に殺されけり 斯(かく)と見るより高須院元大ひにいかり 白 歯(は)をむきて懸(かけ)来り八兵衛のうし ろより物をもいわず喰付たり八兵衛 は心得たりと振り返り互に透(すき)を見て 喰合しが双方聞ゆる猛狸なれば 一寸も引じと戦ひしが院元は難(なん) なく八兵衛取ておさへ既(すで)に止(とゝ)めをさゝ んと咽(のど)笛へ喰付し所八兵衛の手下 七八疋馳来り院元の後(うしろ)足をくわへ