翻刻
皆〳〵大ひに歎き悲(かな)しみ斯ても
詮なき事なれば泣〳〵禁長が死
骸を菖蒲(しよふぶ)田へ葬(ほ)むり印の石を建
念ひに供養しけるは誠に人間も
及はぬ事也と聞へ感涙(かんるい)を催ふ
しける扨夫より小鷹は大和か方へ
至(いた)り千太に乗りうつり津田山
合戦の事より六右衛門を討取し
事并に禁長深手を負(おい)終に
相 果(はて)し事より小鷹か二代の禁
長となり当屋敷を守る事
まで涙だながら物語りしかば茂
十郎を始め家内の者大ひに驚き
且禁長か病死を不便に思ひ供に
涙を流しけるが夫より屋敷に
小(ちい)さき宮を建禁長を神と
祝ひける小鷹は田浦太左衛門に便(たよ)り
学をいたし其後子禁長と