翻刻
四時の|気候(きこう)を|明(あきらか)にすへし若其地其所の|気候(きこう)に|暗(くら)けれは
年中の豊凶をしり|流行(りうこう)の|病患(ひやうくはん)を|知(しる)事|難(かた)し|譬(たとへ)は|寒(かん)
|国(こく)は|熱(ねつ)|少(すくな)く|熱国(ねつこく)は|寒(かん)|少(すくな)きがごとし此|考書(かうしよ)は我尾陽城
南を以て|考(かうかへ)の|基(もとゐ)とす|其余(そのよ)の国々は是を以て|計(はかり)|難(かた)し
一国一|郡(ぐん)の|間(あいた)にてすら|晴雨(せいう)|等(ひとし)からず|况(いはん)|哉(や)かぎりなき
|万国(はんこく)の|行化(きやうくわ)|逐一(ちくいち)に此一|小冊(せうさつ)に|尽(つくす)事を|得(ゑ)んや是は|唯其(たゞその)
|大概(たいがい)を|述(のぶ)るのみ|観者(みるもの)此書を以て|非道(ひだう)の利を|貪(むさほ)る|事(こと)
なかれ|此等(これら)の|義(ぎ)は|前〻(まへ〳〵)の|考書(かうしよ)に|委(くはし)すといへとも|不見(みざる)
人のために亦是を|誌(しる)す只|疾病(しつへい)を|免(まぬか)れ|時(とき)に|順化(しゆんくわ)して
|養生(ようじやう)の|一助(いちじよ)となさんのみたとひ此考にいはざる病たりとも
心を|用(もち)ひざる時は命をも|失(うしな)ふに|至(いた)る|海内(かいだい)の君子|謹(つゝしんて)而|生(せい)
|命(めい)を|全(まつたく)して|壽域(しゆいき)の|歓楽(くはんらく)を|得(ゑ)玉はん事是|吾(わが)|願(ねがい)なり
扨近年来|世界(せかい)一|統(とう)に五穀|豊熟(ほうじゆく)にして|米価(へいか)|賤(いや)しきに
諸人|窮(きう)せり是|全(まつたく)く人気の|悪(あしき)よりなす所ならんか其故は
|農(のう)人は|商人(あきうと)の|意(こゝろ)となり商人は|非常(ひじやう)の|利欲(りよく)をのみ思ふの|徒(と)
多く|諭(たとへ)は農人は五穀を|作(つく)るに|十露盤(そろばん)を用ひ米は近年|下(け)
|直(じき)なれは|利(り)あらず|品(しな)をかへて|何(なに)を|作(つく)るに利あらんと|計(はか)り
|己〻(おのれ〳〵)の|家業(かげう)をすて|多分(たぶん)の|利得(りとく)あることをなさんとそ
|穿(うかち)|窺(うかゞ)ひ|徒(いたつら)に|暇(いとま)を|費(ついや)し|業(げう)を|忘(わす)る〻の人|多(おほ)く|何(なに)となく|士(し)
|農工商(のうこうしやう)夫〻の|分(ふん)を|他(た)に|轉(でん)してなすが|故(ゆへ)に|自然(しぜん)と|天理(てんり)に