翻刻
〇三十口火元名前の事
〇変死人の有数を量り記して後人の惑を解く事
〇元禄以後大地震ありし年月の事
〇武家町方焼失場所之事
〇新吉原町假宅御免の場所之事
〇当十月二日以来昼夜数度地震動揺の大小を量
りて日記せし事
〇大地震を詠せし詩
やふれ窓の記
安政二年乙夘十月二日昼のほどは天(そら)曇り雨の
気を含めり夜に入て少しく晴る戌の半刻過き
吾は婦(つま)人と小婢(ハシタメ)の間に在りて手爈(ヒバチ)【「炉」カ】によりつゝ
眠りをもよほすをりから《ルビ:なゐぶ|地震》りを覚しくて
天地おのづから声あり婦〻婢は《ルビ:あ|噫》といひさま
我にすがるを扶(タス)けつゝ梁をよぎたる柱にいざり
よるに《ルビ:くわら|瓦落》〳〵《ルビ:ひし|犇❓〻》〳〵と千よろづの雷(イカヅチ)鳴り
わたるやうなるに人〻のをめき叫(サケ)ぶ声をちこちに