みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE9

やぶれ窓の記 全 - 翻刻

やぶれ窓の記 全 - ページ 9

ページ: 9

翻刻

【上段翻刻】 二階居間などは 層楼居室とも 書くべけれどさまては 物しりめかしく をこのわざなれば 略しつ以下また 是に倣ひて目 やすく記せり 【本文翻刻】 聞ゆをりしも二階に積たる書櫃(フバコ)又居間の架(タナ)より 雑具とも頽(クヅ)れおち壁又障子などは浪のうつ やうに見え天井鴨居動きひしめき女どもは たゞに消えいるはかりなりしかどほとなく 揺(ゆ)りやみしかばをちこちに人声《ルビ:さうぞき|騒動》 聞ゆ女どもゝやう〳〵心ちつきしかばやをら 老の身を起し窬戸(クヾリド)引あけてやる人〻火《ルビ:あや|危》うし 火所(ふド)に心せよとしはがれ声をあけつゝ提燈 ともして外面(ソトモ)を見やれば我あづかる所の 連屋(ナガヤ)ひと棟の廂みな崩れおちたれば《ルビ:あき|果》れ ながら身うちに疵つきしものはなきやあまりに 《ルビ:あわ|周章》てゝ身をな害(ソコナ)ひそなどいひつゝ問ふに 人みな色をうしなひいまだ息もつぎあへねど 疵も得ぬよし皆まうす此歓ひ我身にとりて いとかぎりなしと《ルビ:いらふ|答》又我家を見るに 壁こぼれ柱は《ルビ:ひづみ|曲》たれと住わぶるほとには あらすさるをりから火のおこりしを知らする 半鐘のおとそここゝに聞ゆ屋のうへによぢ登りて