翻刻
めける
抑(そも〱)相撲(すまひ)の取組(とりくみ)は紅白(かうはく)
むらさき薄浅黄(うすあさき)こゝは【ろヵ】
〳〵に色香(いろか)を闘(たゝか)ふ紫(むらさき)は
あけを奪(うは)ひ夜(よる)の黄色(きいろ)は
白(しろ)きを欺(あさむ)く三十二/相(さう)
八十/種好(しゆかう)互(たかひ)に争(あらさふ)ふ百(もゝ)
の媚(こひ)
行司(きやうし)次第(したい)に団扇(うちは)を
あけ西か勝(かち)いや〳〵東か
勝(かち)と御贔屓(こひゐき)の手すりも
動(うこ)く御/言葉(ことは)は一から十
まて取組(とりくみ)かわるい〳〵の御
評義(ひやうき)に作者(さくしや)は燈台元(たうたいもと)
くらし御/見物(けんふつ)のお目
かねかうこかぬ所(ところ)今日(こんにち)は
初日(しよにち)
現代語訳
めた。
そもそも相撲の取組は紅白、紫、薄浅黄と、ここでは様々な色香を競い合う。紫は朱を奪い取り、夜の黄色は白を欺く。三十二相、八十種好、互いに争う百の媚態。
行司の判断により団扇を上げ、
「西が勝ちか、いやいや東が勝ちか」と御贔屓の手すりも動く。御言葉は一から十まで取組が変わるたびの御批評に、作者は灯台下暗しで、御見物のお目に叶うか叶わないところ、今日は初日である。