翻刻
ほてうちて千船百船
つとひつゝうら賀のみなと
うらあけなり千代崎
鶴嵜は此みなとのみさき
をいふなりかへりみすれは
かみつふさ安房のみね〳〵
こち〳〵たゝなはれるか
中にちかくそひえ
たるは鋸山なりけり
高嶺の鋸の歯めき
たるにつけてさは 楠浦
名つけたるなるへし
のみもてうかちたらん 猿嶌
やうなる谷々斧もて
削たらんやうなる 大津
岩ねともに生ひ
たちたる松杉も
錐さしたてたるやう 走水
なりけりかみつふさと
安房とのさかひは
此山に引さかれてあり
となむいふ浮島のきり株に
【欄外】
土佐日記
おひかせの吹ぬる時は
行舟のほてうちてこそ
うれしかりけれ