翻刻
旅そやすけきこよひは小田原のすくにやとる
廿日 空はれたりつとめてやとりをいてていそく酒匂川
此頃の雨に水ましてきのふまてそゆきゝせさりきとかや
さかわ川さかまく水もやすけなりわたりくるしき
世をしおもへはこゆるきのいそといふは大磯小いその
ほとりなりとか
こゆるきのいそきにけりといそ松のまつらん人に
あすはかたらむ馬入川をわたりて藤沢のすくに
やとりす此すくの白はたの宮といふはいかなる御神を
いはひ奉れるにやけふよひ祭りなりとてみあかし
ともしつらねていと賑はしみ社はおくまりたるかう〳〵
しき森のうちなりしらはたのみやといふことをものゝ
名に
山ふかくわくとも人の大神をこゝとししらはたの
みやはせぬ
廿一日朝けのほとくもりしか午過るほとよりはれたり
またきに藤沢をたちいつ家路のちかゝるにあしもか
ろう覚えてゆきとゆくほとにはやう戸墳【戸塚のことか】のすく
ちかうなりぬつねに家に来かよふ人々のこゝにいてむかへ
来ぬるもうれし程かやを過て正矯らにわかれ
戸部の家にかへるわつかにはつかあまり五日の旅寝な
れとも一とせも過たらんやうにおもはるゝは我はかりには