翻刻
【左丁上段】
素戔嗚尊御歌
八雲たつ出雲八重垣つまごめにやへがき
つくるそのやへ垣を 是三十一文字のはじめなり
浪速津にさくやこの花 百済国王仁
ふゆごもりいまは春べとさくやこのはな
浅香山かげさへみゆる 浅香山采女
やまのゐのあさ浅くは人をわがおもはふなくに
此の二つの哥はうたのちゝはゝのやうにて手ならふ人の
はじめにもしけるとあり
和 梅の花それとも 柿本人麿
みえず久かたのあまぎる雪のなべてふれゝば
歌
春の野にすみれ 山邉赤人
二 つみにとこし我ぞのをなつかしみ一よにねにかる
聖 人まろは赤人が上にならんことかたく赤人は
ひとまろが下にならんことかたしといへり
【左丁下段】
六歌仙
はちすばのにごりに 僧正遍昭
しまぬ心もて 玉と
何かはつゆを あざむく
おほかたは月をも 在原業平
めでじこれそこの
つもれば人のおいとなるもの
吹からにあきの 文屋康秀
くさ木のしをるれば あらしと
うべやまかぜと いふらん
わがいほはみやこの 喜撰法師
たつみそかぞすむ 人は
よをうぢやまと いふなり
いろみえでうつろふ 小野小町
ものはよのなかの はなにぞ
人のこころの ありける
かゞみ山いざたち 大友黒主
よりてみにゆかん おいや
としへぬる身は しぬると