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持〇長者
積善(せきぜん)の家(いへ)に 余( よ)けいな
金もちはたまりし
はらのそうじ
したまへ
蔵建(くらたて)る 力( ちから)はなくて菊畑(きくばたけ)平屋(ひらや)に
すみし風雅人(よすてびと)は潰(つぶ)れたといふ咄(はなし)もなし
さて 持丸(もちまる)の長者(ちやうじや)たち 此節(このせつ)でござり
ますその 身(み)〳〵の 分限(ぶんげん)次第(しだい)こヽろ
もちの 施(ほどこし)しをいたしたいもので
こざり升が 何(なに)をほどこしたら
よかろふやらマアこヽが御そうだん
〽さやう〳〵ごくなんじうななものを
ゑらみそれ〴〵へせぎやうして
やりましたらこれにこした
いんとくはこさりますまい
〽なるほど〳〵 左様(さやう)〳〵
おやのない子や子のない
おやめのみへぬもの
つえついたとしよりなどに
ほどこしたらよをござり
升ふ〽サアそこでございます
つえをついたものにほどこす
なら此せつのたふれかゝつた
家(ちへ)へのこらずほどこしを
おたしなせへナ