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【本文】
大畧(たいりやく)を尋(たづぬ)るに初(はしめ)北越(ほくゑつ)の鎮撫(ちんふ)小枝(さえた)亞相(あしやう)敏家(としいへ)卿(きやう)に仕(つかへ)て數々(しば〱)
先登(せんとう)踏陣(とうぢん)の功(こう)あり敏家(としいへ)卿(きやう)其 勇壮(ゆうそう)を稱(しやう)し且(かつ)同姓(どうせい)の族籍(ぞくせき)
に系(かゝ)るを以(もつて)芽土(ばうと)の封爵(ほうしやく)を与(あた)へ給ふべき意(こころ)ありと雖(いへども)敏泰(としやす)が
気質(きしつ)世事(せじ)を軽(かろん)じ常(つね)に嬌慢(けうまん)なる行(おこなひ)をなせば一郡(いちぐん)一邑(いちゆう)の主(しゆ)となし
給ふとも行事(かうじ)を慎(つつしま)ず民(たみ)を治(おさむ)る次第(しだい)麁畧(そりやく)ならんを恐(をそ)れ給ひて
慶次郎 敏泰(としやす)を御前(おんまへ)に召(めさ)れ行状(ぎやうじやう)を改(あらた)め萬事(ばんじ)を慎(つゝしむ)べき由(よし)淳〱(くれゞ)
教示(しめし)給ひしかば慶次郎 深(ふか)く前非(せんぴ)を悔(くひ)向後(けうごう)を謹(つつしむ)べき由 答(こたへ)し
かば敏家卿御 悦(よろこび) 限(かぎり)なく頓(やが)て采地(ちぎやう)五千 石(ごく)を賜(たまふ)の命(めい)ありしかば
慶次郎密(ひそか)に思ふやう浮世(ふせい)夢(ゆめ)のごとし歓(よろこび)をなす幾(いくばく)もなし□
今 許多(そくばく)の禄を受(うけ)て食(しよく)は山海(さんかい)の珍味(ちんみ)を備(そなへ)る共 喰(くらふ)所は腹(はら)に満(みつ)
るに過(すぎ)ず身(み)に綾羅(りやうら)を纏(まとひ) 衣筐(いきやう)充満(みちみつる)とも詮(せん)とする處は寒(かん)を
【枠内】
繪本合邦辻巻一 三