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コレクション: STAGE1

熱海獨案内 全 - 翻刻

熱海獨案内 全 - ページ 20

ページ: 20

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ち俗(ぞく)に謂(いは)ゆる湯中(ゆあたり)これなり蓋(けだ)し温泉論(おんせんろん)を案(あん)ずるに温泉は 固(もと)より衝動(せうどう)。鎮静(ちんせい)。排泄等(はいせつとう)の種々(しゅ〳〵)の直接(じきせつ)なる作用(さよう)をあらはし 又|間接(かんせつ)には専(もっぱ)ら変質(へんしつ)の効用(こふよう)あるもなれは若(もし)誤(あやまつ)て俄(にわか)に多(た) 量(れう)を服(ふく)し或(あるひ)は一|時(じ)に数回(すたび)入浴(にうよく)するときは忽(たちま)ち浴熱病(よくねつびやう)《割書:即ち|湯あ》 《割書:た|り》を発(はつ)し食欲(しょくよく)減損(げんそん)。衰弱(すいじゃく)過度(かど).。脈行(みゃくこう)頻数(ひんさく)。皮膚(ひふ)乾燥(かんそう)。発熱(はつねつ)。眩暈(げんうん)等 の諸徴(しょてう)を来(きた)し又ブンドラシアセルフリスと称(せう)する浴疹(よくしん)を 発(はつ)することあり而して俗説(ぞくせつ)に之を治病(ぢびやう)の効能(こうのう)をあらはす の初徴(しるし)となすもの多(おほ)しと雖(いへ)ども是(こ)れ決(けつ)して然(しか)るに非(あら)ず故(ゆゑ) に若(も)し此(かく)の如(ごと)き證徴(せうてう)を認(みと)むるときは且(しば)らく其(その)入浴(にうよく)或(あるひ)は内(ない) 服(ふく)の数量(すれう)を減(げん)し又(また)数日間(すじつかん)全(まつた)く停止(ていし)すべしと而して予(よ)この 泉(ゆ)に浴(よく)すること数旬(すじゆん)且(か)つ諸浴客(しょよくかく)の経験(けいけん)せし所(ところ)を聞(き)くに十 中の八九は皆(みな)この泉(ゆ)に浴(よく)すること両三日(れうさんじつ)にして飲食(いんしょく)頻(しき)り に進(すゝ)み殊(こと)に渇(かつ)を催(もよ)ふすこと甚(はなは)だしく而して凡(およ)そ一|週間(しゅうかん)を 過(すぐ)れば飲食(いんしょく)の量(れう)はしめて本(もと)に復(ふく)し病症(びやうせう)は稍(やヽ)量(おも)きを加(くわ)ふる に似(に)たり故(ゆへ)に俗説(ぞくせつ)に曰(い)ふ第(だい)一|週間(しゆふかん)に病(やまい)を出(いだ)し第(だい)二|週間(しゆふかん)に 病(やまひ)を治(なほ)し第(だい)三|週間(しゆふかん)に疲労(つかれ)を補(おぎな)ふと是(これ)また此地(このち)数(す)十百|年来(ねんらい) の経験(けいけん)に係(かゝ)る所(ところ)なれは記(き)して以(もつ)て浴客(よくかく)の参考(さんこう)に供(けふ)せざる べからず      ○湯戸(ゆこ) 湯戸(ゆこ)昔(むかし)は客屋(きやくや)と称(せう)し今井(いまゐ)渡邊等(わたなべとう)二十七戸を限(かぎ)りその業(げふ)を 営(いとな)みたりしが今(いま)は自由(じゆう)に官許(くわんきよ)を得(え)て博(ひろ)く四来(しらい)の浴客(よくかく)を宿(しゅく) 泊(はく)せしむることを得(う)る之を温泉宿(おんせんやど)と云(い)ふ其数(そのすう)都(すべ)て二十九