翻刻
道理なれ其道理こそ何ゆゑなれは習はぬ事の
出来ぬは道理と無理こじつけの道理なれは
小児たましの上絵書一枚二枚はかくして
おいても三まい四枚の数重り終に顕れ面目を
灰にまふりし折こそあれある人来りて嘲笑ひ
いよ〳〵此書の成就せは編笠かふり街に彳【彳たた-ずむ】
此度信州大地震世に珍らしき次第なり
紙代纔に十六銅とおためこかしの誉言葉
此時こそは玉の汗後悔恥辱は海より深く山ゟ
高き父母の恩【思?】沢紙価纔に十六穴と丈の
極りし豆蔵文句口惜き事かきりなし
今社【こそ】胸を痛くして責て何かなひとくせ
あらはよもや斯まて嘲りを受けとるへきを不知は
しらさるとせよとの教を最初から斯まて卑
下して置たる事をと既に空鋪秘しておきぬ
又ある人来りけり大災につけいろ〳〵と苦患の
噺数刻およひぬ此時風としておのれか存意を
語りあひこの事後世に及なはかゝる怪談を
しるへからす噺伝もさたかならすや子孫の慰に
斯社したりと噺に乗して開けれはこの