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人利を解て言けるは嘲笑したるはいつれのひと
にありけるや其由しらされとも後世に及て此事
を伝聞ともいかてか是程の大変とおもふへき
信濃一国の大災といへとも其災害の多少により
差別あり災難の薄きところは此中において
たに心配格外薄し一時といへとも眼たくまに
我千万の人〳〵一命を失ひ助け給へ救ひ
給へといふ程もなく火かゝり共に死せんといふを
われは迚も遁れかたし共に命を失ひ
誰ありてか香花を手向一遍の念仏回向
すへき早く迯去りもふすへしと長き別れは
またゝくうち骸を街にさらせとも誰あり
てか是をとむらふものもなく一枚紙の裏表かへ
すか如くの苦痛のありさま悲歎の程は今更に
語るもなか〳〵怖鋪身うちもしふるゝ計なり
亦山中にては山崩れかゝる大河の流末を
湛其外大災怪談は中〳〵あけて数へかたし
いかてか代〳〵を累し後斯ばかりとは
おもふへき他人に譲る存意になく全く
子孫に伝ふる実録いつれへか恥へき何れへか