翻刻
【右丁】
相(さう)を絵図(ゑづ)に画(かゝ)せて遍(あまね)く天下を求(もと)めたまふに果(はた)して傅説(ふゑつ)を
得(ゑ)給へり我公(わがきみ)ゆめを軽(かろ)んじたまふ事なかれ爰(こゝ)におゐて
文王(ぶんわう)大によろこび文武(ぶんぶ)の諸臣(しよしん)と共(とも)に東南(とうなん)に狩し給ふ
に賢人(けんじん)に逢(あい)たまはず散宜生(さんぎせい)が曰(いわく)むかし湯王(たうわう)の伊尹(いいん)を莘(しん)
野(や)に聘(とひ)給ひし時も三たび至(いたり)て後(のち)に出たり我君(わがきみ)賢者(けんしや)を
得(ゑ)んとおぼしめさば潔斎(けつさい)してふたゝび行(ゆき)たまへかならず
賢人(けんじん)に逢(あひ)たまはん文王の曰(のたまは)く宜生(ぎせい)が言葉(ことば)わが意(こゝろ)にかな
へり古人(こじん)君子(くんし)の郷(さと)に入るに車(くるま)を枉(まげ)て式(しよく)すといへり賢(けん)を
うやまふの礼(れい)疎(おろそか)にすべからずとて斎戒(ものいみ)して又 磻溪(はんけい)に
至(いた)りたまひ呂尚(りよしやう)にまみへ其 姓名(せいめい)をたづね給へば呂尚(りよしやう)姓(しやう)
は姜(きやう)名(な)は尚(りよ)【呂の誤ヵ】字(あさな)は子牙(しが)又 飛熊(ひゆう)と号(がう)すと文王(ふんわう)のたまはく飛(ひ)
熊(ゆう)夢(ゆめ)に入しは此人なりとて車(くるま)に乗(の)せて朝(てう)にかへり給ふ
四之巻終
【左丁 見返し 文字無し】