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コレクション: STAGE5

風俗畫報臨時増刊第百九十七号 明治三十二年諸國災害圖會 - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百九十七号 明治三十二年諸國災害圖會 - ページ 41

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し。爾来(じらい)稍や運搬の方針を整理せるも。尚ほ平素の二三|倍(ばい)に在 り。為に運搬に費す所の金額実に莫大(ばくだい)なりしと云ふ。    ●高知県暴風雨被害の状況 嚮には七月九日風雨洪水の変(へん)ありて、高知市を初め県下東西の 各地其の災害(さいがい)を被らさるは無く、堤防(ていぼう)修築費(しうちくひ)のみにても、殆ん ど三十余万円に達す可しと称(しよう)せられ、次に鹿児島を襲(おそ)ひたるの 暴風雨(ぼうふうう)は、余勢(よせい)転(てん)して本県に寇し、家屋農作物の被害(ひがい)亦(また)尠(すく)なか らす、県民殆んど生を聊(やす)んずるに遑あらさりしに、八月廿八日 の夜又〻一|大暴風雨(だいぼうふうう)ありて、県下一万余戸の民屋(みんおく)を壊倒し、人畜 の死傷|夥多(をびたゝ)しく、異常の損害(そんがい)を逞せり、今其詳報を記述(きじゅつ)すべし。 節は正に秋気(しうき)に入りて一ヶ年の最大厄日たる二百十日を数日前 に控(ひか)へ天候穏かならざれば、人々安き心をあらす、殊(こと)に廿八日 は朝来雨天にて多少風力を添(そ)へ、之に雷鳴(らいめい)さへ加はりて、風雨(ふうう) の模様(もやう)を呈し、其の険悪(けんあく)なる天候は、夕方に近つくに随(したがつ)て更に 益々(ます〳〵)険悪(けんあく)を加へ、午後七時頃よりは忽(たちま)ちにして暴風、強雨を駆 りて至り、風力(ふうりょく)の強猛(きやうもう)なる樹を折り屋を破り、壁を仆し瓦を飛 はし、或は崩屋(ほうをく)に圧せられて、悲鳴(ひめい)を揚くるあり、或は飛瓦木 片に打たれて街上(がいじやう)に仆(たほ)るゝあり爾かも午後八時前後に至(いた)りては 其勢殊に凄(すさ)ましく、高知市街及ひ近傍(きんぼう)の家屋は悉皆暴風の為め 吹破(ふきやぶ)り吹飛されて、一戸も無難なるものなきに至り満目の光景(くわうけい) 転(うた)た惨憺(さんたん)悲凄(ひせい)を極めたり、故老の首に云ふ、安政(あんせい)地震(じしん)以来(いらい)の大 変災なりと。    ●高知市被害の模様 ●市内の惨害取調 市(し)内に於ける被害の調査を掲(かゝ)ぐれば左の如 し。 (倒壊之部)全倒家屋二百六十七|棟(むね)○同|納屋(なや)百零七棟○同便所百 【右頁下段】 八十六棟○同墻塀(かきへい)五百四十四ヶ所○同門九個 (半倒之部)半倒家屋二百二十二棟○同納家六十九棟○同便所八 十七棟○同墻塀二十一ヶ所○同倉庫七棟 (破損之部)破損(はそん)家屋(かおく)二千八百九十七棟 同納家二百七十二棟○ 同便所四百九十五棟○墻塀四十一ヶ所○同倉庫八十五棟○同神(じん) 社(しゃ)仏閣(ぶつかく)十一棟○同病院九棟○同|学校(がくかう)五棟○同門四箇○其他多少 破損の家屋(かおく)無数(むすう)○隣壁(りんへき)ニ百五十一ヶ所延長四百九十三間 (死傷之部)死者五人内男三人女二人○傷者(しやうしゃ)二十一人内男九人女 十二人 ◎高知市 高知市(かうちし)は県庁の所在地にして、学校病院等重要なる 建築物(けんちくぶつ)多(おほ)く、有名の場所柄なるが、今回(こんくわい)の暴風雨の為め被害著し く、まづ高知県庁、裁判所、警察署、監獄署を始め市郡役所、 中学校及び女学校其他各学校を始(はじ)め高知(かうち)病院(びやういん)、楠其他の私立病 院、太神宮、本願寺(ほんがくじ)別院(べついん)、高野山出張所、両演劇場等の大建物は 孰れも屋瓦(をくぐわ)を吹飛ばされ、壁土を掻落され墻塀破れ樹木(じゆもく)倒(たほ)れ被 害亦鮮しとせず、就中高野山出張所の建物及び樹木(じゆもく)の墜倒、中島 町高知座の破壊(はくわい)の如きは、殊に其(その)惨酷(ざんこく)を極め一たび之を見る時 は覚(おぼ)へず酸鼻(さんび)の情を催ふさしむ、其被害調査は左の如し。 △中島町 家屋(かおく)全倒(ぜんたう)六軒○便所同七○板塀(いたべい)五十一ヶ所、二百七 十五間○家屋半倒十七○便所一○板塀三ヶ所○家屋破損九十一 軒○納屋(なや)同十四軒○便所同二十六○神社一宇○寺院三軒○病院 病室八軒○倉庫九軒○板塀五ヶ所 西唐人町 家屋全倒一軒○ 板塀十六ヶ所○家屋半倒十九軒○便所同二ヶ所○家屋破損卅六 軒○納屋同八軒○便所同八ヶ所○倉庫(そうこ)同六軒○片町板塀|全倒(’ぜんたう)七 ヶ所○家屋破損十四軒○納屋同三軒○便所同五ヶ所○門一○土塀 同二ヶ所△鷹匠町 便所(べんじやう)全倒(ぜんたう)一軒○家屋同二軒○家屋半倒五軒○ 板塀破損一ヶ所△帯屋町全倒家屋三軒○便所二軒○塀四十七ヶ 【左頁上段】 所○土塀□【脱字:一】ヶ所○半倒家屋一軒○同板塀七ヶ所○家屋破損百十軒 ○納屋同五軒○便所同十三軒○竈家同三軒○門同四ヶ所|神社(じんしや)一軒 ○物品(ぶつぴん)陳列場(ちんれつしやう)九軒○土塀一ヶ所○学校一ヶ所○倉庫五軒○柵垣(さくがき)一 ヶ所○家屋破壊十一軒△北門筋 便所全倒一軒○板塀二ヶ所○ 便所半倒二軒△北与力町 板塀全倒六ヶ所○便所一軒○家屋破 損十六軒△永国寺町 家屋全倒一軒○便所同三軒○板塀二十九 所○門二箇○家屋半倒一軒○門同五箇○家屋破損卅軒○便所同 八ヶ所○神社同一宇△元与力町 板塀全倒十五ヶ所○家屋破損 七軒○倉庫同一軒△廿代筋 家屋破損二軒△追手筋 家屋全倒 二軒○便所同三軒○板塀五十一ヶ所○門三箇○家屋破損百十一 軒○納屋同十軒○便所同七軒○門同三箇○寺院同一宇△本町  家屋全倒三軒○納屋一○板塀廿三ヶ所○井戸側二箇○板塀半倒 三ヶ所○家屋破損九十四軒○納屋同九軒○便所十八ヶ所○門一 ○新聞社一軒○写真屋二軒○病院二軒○同病室一軒○郵便電信 局一軒○産婆教授所一軒○育児堂一軒○掲示場三ヶ所○井戸一 箇○劇場一軒○印刷所一軒△南与力町 便所全倒二軒○板塀二 十五箇所○家屋破損五十六軒○納屋同五軒○便所同十四軒○竈 家五軒○門一箇○土塀二ヶ所 ◎上町の被害(ひがい)は左(さ)の如(ごと)し。 ▲本丁筋 全倒家屋二軒半倒同二軒破損同七十八軒便所全倒二 軒同半倒二軒同半倒二軒破損二軒倉庫半倒一軒物置全倒十二戸 同破損二戸神社半倒一戸 ▲北奉公人町 家屋全倒十二軒同半倒五軒同破損五十軒便所全 倒八軒同半倒二軒物置全倒二軒同半倒三軒仏寺一堂 ▲南奉公人町 家屋全倒二十軒同半倒二軒同破損五十七軒木材 納屋全倒一軒便所全倒十一戸同半倒三戸同破損九軒倉庫破損三 軒物置全倒六軒同半倒三軒同破損十四軒負傷男一名女一名 【左頁下段】 ▲通町 家屋全倒四軒半倒十四軒同破損五十三軒便所全倒三軒 同半倒二軒同破損一軒物置全倒七軒同半倒六軒 ▲水通町 家屋六軒同半倒九軒同破損百四十軒便所全倒七軒同 半倒四軒同破損十二軒倉庫破損一軒物置全倒十戸同半倒七戸同 破損十二軒築屋式家屋全倒一軒同半倒一軒同破損四十七軒便所 全倒一軒同半倒二軒同破損二軒物置全倒二軒同半倒一軒同破損 負傷一名 ▲玉水新地 家屋全倒五戸同半倒廿三戸同破損廿四軒便所全倒 七軒同半倒二軒倉庫半倒一軒物置全倒一軒負傷一名 ○枡形 家屋破損八戸便所全倒四戸半倒一戸死者女一名負傷男 一名女一名 ▲金子橋 家屋全倒四戸半倒四戸便所全倒四戸半倒二戸家屋破 損十五戸 ◎南町 其の位置高知市の東南端を占むる事とて一時|暴風雨(ぼうふうう)の 衝(しょう)に当り被害亦随て酷だしく、殊に潮水(てうすゐ)激漲(げきてう)し来りて、九反田 一円を浸(ひた)し、深き処は人の腰(こし)迄及ぶ程なりしが、南町(みなみまち)各町(かくちやう)に て被害(ひがい)の第一に位するは、九|反田(たんた)、東唐人町、雑喉場、掛川(かけがわ)町 浦戸町なりとす、幸(さひわ)ひに死者 を出ださゞりしも、家屋何れも完(まつた) きものとては無く其の荒涼(こうりやう)凄惨(せいさん)の光景(くわうけい)は座ろに人をして暗涙を 催(もよほ)さしむ其の被害調査は左の如し。 ▲掛川町の部 (負傷)男一人掛川町二十二番邸加藤米四郎 (倒 壊)家屋二棟、納屋二棟、雪隠一棟 (半倒)家屋六棟、納屋一棟 (破損)家屋七十三軒、墻壁十八ヶ所三十六間▲浦戸町の部 (倒 壊)家屋二棟、納屋八棟雪隠七棟、門五ヶ所 (半倒)十一棟 納屋七軒、雪隠二棟 (破損)家屋百五十二軒、納屋八棟、雪隠 七棟、墻壁九十四ヶ所七十六間 ▲朝倉町の部 (倒壊)家屋二 棟、神社一宇 (半倒)家屋七棟 (破損)家屋二十棟、納屋十一