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コレクション: 松平文庫

温古集 四巻 - 翻刻

温古集 四巻 - ページ 92

ページ: 92

翻刻

【右丁】  簡斎も心地のあしき事をわすれて分れけり 一簡斎若き時遊学の友ありて互に志を得は為知申  さんとて別れけるか此者江戸に行て簡斎に来り玉へと  申おこせたりけるほとに簡斎江戸に至りて聞たりしに此者  麹町辺にて薬種屋と成大店を出せしと聞かく町人に成  利を貪り志を得たりと思ふ事やは有もはや語るに  たらすとて一首の歌を送り対面もせて被帰けり   有乳山谷のむもれ木朽はてゝ花吹門をよそに                    みるかな     簡齋翁自画讃 【左丁】 簡黙翁越之若耶渓人曾祖山本氏某嘗 事羽柴秀一于東郷遭亂際于鹿人終失 其系譜父猶有膽氣不強抱於勢利母荒 木氏慈愛貞諒能恵人翁幼有厭世慕佛 之志迄讀佛書至於殊勝之處而掩巻必 泣年十八入寺手自切髻僧徒驚歎告于 父母遂作緇倫心潜誓謂永離名利一得 解脱凡所愛惜與之於人或焚葉之常入 墓所作白骨觀矣隣郷有高坂氏某居士 者佛儒兼學寸識過人傳間甚善焉翁亦 知有其人往見而屢論講居士頻稱聦明 矣明年擧見明星悟道之話一日省親宿