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【右丁】
簡斎も心地のあしき事をわすれて分れけり
一簡斎若き時遊学の友ありて互に志を得は為知申
さんとて別れけるか此者江戸に行て簡斎に来り玉へと
申おこせたりけるほとに簡斎江戸に至りて聞たりしに此者
麹町辺にて薬種屋と成大店を出せしと聞かく町人に成
利を貪り志を得たりと思ふ事やは有もはや語るに
たらすとて一首の歌を送り対面もせて被帰けり
有乳山谷のむもれ木朽はてゝ花吹門をよそに
みるかな
簡齋翁自画讃
【左丁】
簡黙翁越之若耶渓人曾祖山本氏某嘗
事羽柴秀一于東郷遭亂際于鹿人終失
其系譜父猶有膽氣不強抱於勢利母荒
木氏慈愛貞諒能恵人翁幼有厭世慕佛
之志迄讀佛書至於殊勝之處而掩巻必
泣年十八入寺手自切髻僧徒驚歎告于
父母遂作緇倫心潜誓謂永離名利一得
解脱凡所愛惜與之於人或焚葉之常入
墓所作白骨觀矣隣郷有高坂氏某居士
者佛儒兼學寸識過人傳間甚善焉翁亦
知有其人往見而屢論講居士頻稱聦明
矣明年擧見明星悟道之話一日省親宿