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いへり
寄せみてり今によとまぬ菱男波
つらき恋路の名こそなかるれ
此所に観音坂とて峠有麓に観音堂あり是は此
夫婦の為に菩提を建し尊像といへり是ゟ松波村へ
拾五丁あり山道にて海上を見渡し面白き所也
半途に座頭落しとて恐敷欠けあり又畠中より
山手へ入は松波散村の為と云けん也昔の松波家の
家臣為左衛門といふ人の屋敷跡其筋目とて百
姓有又穴釜とて瀧有往古穴釜とて富貴の者ありて
此瀧坪ゟ酒の出し事有といへり今も此瀧坪に色々
不思議有といへり又是より松波出は往還にて城山へ
出る也又城山続きに大き成宮森有笠主の宮とて
上村といふの氏神也此宮の脇に笠主と云百姓あり
此者先祖畑に有しに御神躰天より此者の笠の上へ
下り給ひて告て宣く我を此所の氏神に祭る
へしとありて則此所に勧請する也本地金像の
薬師如来の少仏也其日祭礼にて毎歳三月廿二日