翻刻
磯に枩嶋高麗嶋とてあつて風景いわんかたなし
閑静にして奥州松嶋の景に等しとて奥州
枩しまの見仏上人来り給ひて三年迄洞に住給ひて
其うたに
見仏上人
三とせまておりかさねつる布浦を
けふ立そめていつかきてみん
西行撰集に西行此三人に逢ひ給へるは能登国いなや
づの郡洞は南向とあり能登の国にいなやづの郡なし
案するに須津(スヅ)郡と書けりいなやつの 有也いかに
や此洞の辺に盗人穴とて大成洞あり真脇三とも
いへり仏穴の隣りに盗人穴善悪の二つおかし又の釜
とてあり沖に義経の喰物焼給へる釜とて有釜と
いふ■の躰とて風景あり又坊の釜とて有薬師堂
あり昔は枩波常陸介寄願所にて医王山薬師寺
とて真言宗也今は少庵なり本尊薬師如来は見仏
上人仏の洞に残し置給ふ霊像にて御長壱尺の
焰浮陀金の三枚の蓮花薬師左は日光仏右は月光
仏立給へり霊験奇得おふき尊像也縁記に色々