翻刻
外より見ゆることなし又切通しとて山を切通り船
の通ふ所有惣して此城山面白く風景所々にあり
大に境内広し羽根ゟ宇出津迄弐十六町本馬三拾
四文なり
此灘に船待する事あり比しこと珍重の
はしめに止みもやらぬ春雨の降たへある
にあさまなる宿のこととふ物とては汲茶
さし出す下女の有か様黒き股のみゆるは
更なりおかしき所まてあらわにせは布
の脚布は陸奥の狭の里にはあらねとも
そちの前かあわねはこちのむねあわす外
面には芦間をあさる濡鷺のよふに船人
の筈に面出しけふも晴す明日もなか
ぬと呼ひよふ声もかなしくねてもさ
めても只寂寥なるを愁ふけし
春雨やなく程けふも淋しけれ
又枩波村ゟ不動寺村へ行に宮犬村とてあり弥勒
院とて真言宗あり常陸介起る所にてよろひ