翻刻
又栄孫とて百姓有宇出津へ行には下の長坂とて三拾町
の坂あり
夜深に此峠を通ふに
暮しも山明日も山よかんこ鳥
長坂の上手地蔵ゟ直に道あり右へ行は行延村梯尾坂
上へ出れは枩波への閑道也左へ行は田原へ弐町野へ出る也
山中より壱里拾弐町本馬六十八文軽尻四拾
宇出津
壱文人足弐十一文也
此宇出津は本町新町新村続き有て其支配違共皆宇
出津といへり三町にて家数四百軒余有昔は元宇出津
とて地名に成て四の浦辺にありし也今の宇出津の
地は天呑の城棚木の城の間に杉木原にて有しを両落
城先後間縁にて便より所なり今の地へ移りしを
次第に繁昌して国中一の四十■所にて毎歳春鯨抔
とり大猟至極の地也其外諸商人有間には数百艘の
船たへす問屋の座敷には数百の旅人不絶不断に市を
なし夏冬の賑敷事国府にも増されり一国山奉行