翻刻
へし
一新吉原ハ五町とも潰家多く所〻より一時に出火して遊女ハもと
より客人抔多く死せし中に毎夜こゝに入来る按摩たち其
人数も多かるに唯二人死せしといふ盲人なからよくも逃出せし
ものなり遊女屋のうちにハ京町一丁目岡本楼同二丁目松
葉屋角町若狭屋江戸町二丁目岡田伊勢屋三浦屋吉右衛門等
ハ別して潰おひたゝしく抱遊女なとも過半焼死したりなかニも
三浦屋の家にてハよき遊女を撰シ穴蔵へ入れ助けんとせしに
火入てみな〳〵焼死すとかや廓内焼死【訂正:亡】人御しらべの高六百三
十余人土蔵一ケ所ゆりくつれしまゝ焼残るのみにして家は京
町一丁目下のかたにニ三軒のこり大門外五十間道西側の家の
こる其外少しも残りなく焼亡ひしハ実にあハれにそ思はれ
けり爰にあやうき命を助る人〻はあるまじ抔いひしが
誰かれも皆のがれいでゝ又仮宅の見せをひらきいづれもにき
ハひける家〻を見るに姿海老屋松葉屋の両家ハ見え
ざりける
哀しらハ曲輪もぬけよ寒念仏
一新吉原焼失ニ付遊女屋仮宅の地御ゆるしの場所二十四ケ所