みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE3

安政風聞集 上中下 全 - 翻刻

安政風聞集 上中下 全 - ページ 43

ページ: 43

翻刻

 人もまた珍(めづ)しけれバ因(ちなミ)にこゝに紀(しる)すになん ◯ 小川町(をがハまち)ハ護持院原杉(ごぢゐんはらすぎ)の大木 数本(すほん)倒り中(なか)に本多矦 前(まへ)の辻番(つぢばん)ハ最(いと) 少(ちい)さけれど折(をり)をよく杉(すぎ)の大木 家(や)の棟(むね)の真中(まんなか)へ倒れかゝりし故風雨を凌(しの)ぎ 是が為(ため)に却(かへつ)て難義(なんぎ)を遁(のが)れしなり榊原(さかきばら)矦表門長屋崩れ紀(き)の守小(きこ) 出(いで)矦少々損じ ◯ 水道橋(すいどうばし)内ハ大久保広瀬曽根萩原荒井渡邊其外小家簱本衆(おほくほひろせそねはぎはらあらゐわたなべそのほかしやうけはたもとしう) 過半に大破に及ふなり ◯ 雉子橋(きじばし)通り悉く大破夫より広小路飯田町堀留(ひろこうじいゝだまちほりどめ)まで大小屋敷破 損あり    ◯ 植溜稽携古馬場廻(うへだめけいこばゝまハ)り土手数本(どてすほん)の松樹繁茂(しようじゆはんも)せるそが枝(えだ)に数万  の烏(からす)ねくらをもとめて有ける去ㇽ風雨の夜吹 散(ちら)され折(を)れ倒るゝ  大樹(たいじゆ)の為(ため)にうたれ死(し)する事 幾千(いくせん)といふ数(かず)をしらず夜明て後(のち)  掃除(そうじ)を司(つかふ)る役人(やくにん)此 烏(からす)の亡骸(なきがら)を取片付(とりかたづけ)さするに明俵(あきだハら)に七俵げんば  桶(おけ)に荷(にな)ひ出る事十余度に及べりとぞ    ◯小川町 稲荷小路(いなりこうじ)或御 籏本(はたもと)の家士(いへのこ)に金子某(かねこなにがし)といへる人男子(ひとなんし)    一人ありて今年十九歳になりぬ其 妻(つま)の姪(めい)に今年十五になれる    少女幼少(をとめいとけなき)ころ父母(ふぼ)に後(おく)れ久(ひさ)しく孤女(ミなしご)となりて縁者(えんじや)の方(かた)に預(あづ)け    られて有けるが金子氏 此娘(このむすめ)をもて我子(わがこ)の嫁(よめ)にせばやと思へバ    妻(つま)にも其下心(そのしたごゝろ)をかたり預(あづか)りたる縁者(えんじや)の許(もと)よりやがて引取折(ひきとりをり)を得(え)て    婚姻(めあハ)せんと其侭(そのまゝ)に家(いへ)に止(とめ)おけるが当八月廿五日夜いともけわ敷    猛風暴雨(もうふうぼうふ)に瓦落家根(かハらおちやね)めくれほと〳〵 家(いへ)も倒れんとするにぞ    親子(おやこ)ともに彼処(かしこ)を防ぎ此処を片付身(かたつけミ)をはたらかし辛(から)くして凌(しの)ぎ