翻刻
常公移し給ふと所にいへり又熊野方の郷に熊野
権現の大社あり近郷の宗社にて神主■(ヲ)■(サキ)氏
なり是は昔平判官康頼丹波の少将成経両人の
帰洛祈の間三熊野権現を勧請ありて日参有
しなり其比の宮跡は谷内神村とて有其御神躰
を移し奉りといへり其外三人の配所の旧跡地
名抔のこりあり何れも山中にある村也《見せ消ち:釶|鉈》打山は
羽喰鹿嶋鳳至三郡の境山にて絶頂に大石有
其境とは高山にして風景類ひなし内浦は
曽福村ゟ近し
岩角に打浪も恐敷山彦して
厳岨(ケンソ)なる山の姿や雉子の声
又冨木の西の方浜手は藤掛の郷とて赤崎
千浦風戸風無小窪笹汲前浜とて有是を冨
木七浦といふ此灘伝ひ風景にして松ヶ下と
いふ所は船の懸間有戌戻り駒返し抔とて面白