翻刻
西海鯖とて刺鯖塩辛類の名物なり深見大沢
五十 皆身鵜入光浦下山抔とて御進物塩辛等は
此浦伝ひの灘よりあかる也礒伝ひは鹿礒村深見
村へ三十町あり半途に礒の観音とてあり此深見
村に御瀧とて名瀧あり村より東の谷内へ八町
登る也数百丈の山上より五段に落て次第に幅ひ
ろくなり二丈計簾を垂れたることくになり落
るなり林下の岩窟なる所に権現社あり本不
動明王也脇に此礒へ浪に寄給ふ大仏の像あり
しやれきにて印像しれす瀧二ヶ所あり右を雄瀧
といふ左を雌瀧とす此瀧の不思義は雨中にも
旱魃にも水の増減なし往古より同し流れなり
といへり寔に山姿瀧津瀬の有様長山四方に続き
松栢生茂り■猿さけふ色清淵河岸静し心を
すまし言語にも絶えたる所なりとかく辺鄙
なるにやかゝる秀佳の瀧なるに昔の人も詠め残
せしこと口惜きことなり宝永の頃浅香何某
此所にけし