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四方(しはう)三方(さんはう)之事
一四方三方共に敷角(しきかく)にして陰(いん)の形(かたち)也 足(あし)は丸(まろ)くして陽(やう)なり
組(くみ)して地(ち)天(てん)泰(たい)と成るこれ陰中(いんちう)の陽(やう)也 易(ゑき)にて見れば
正月の卦(け)に当(あた)る也 万物(ばんもつ)皆(みな)陰陽(いんやう)はなるゝ事なし能く
勘考(かんかう)すべき也
丸盆(まるぼん)角盆(かくぼん)居様(すへやう)の事
一 丸(まろ)き盆(ぼん)はとぢめを客(きやく)の前(まへ)へ居(すへ)る也 角(かく)の片木盆(へぎぼん)はとぢ
めを客(きやく)の向(むか)ふへ居(すへ)る事 陰陽(いんやう)の道理(だうり)也
膳部(ぜんぶ)の次第(しだい)の事
一 饗応(きやうおう)の御膳七五三五々三 等(とう)の次第(しだい)あれども古実(こじつ)
伝法(でんはう)のみなればこれを略(りやく)す委(くはし)くは学(まな)びて知(しる)べき事也
日本の料理(りやうり)庖丁(ほうてう)の発(おこ)りの事
一 山蔭(やまかげ)中納言(ちうなごん)四条(しでう)藤原(ふぢはら)の政朝(まさとも)卿(きやう)は日本 料理(りやうり)并(ならびに)庖丁(ほうてう)の
祖(そ)也 何(いづ)れの慶賀(けいが)にも鯉魚(こい)を職掌(しよくしやう)する事を第一と祝(いは)ひ
給ふ凡(およそ)魚(うを)として飛竜(ひりやう)と成(なる)によりて高貴(かうき)の祭(まつり)とする事
鯉(こい)にかぎる也もとより鯉(こい)は中通りの鱗(うろこ)大小にかぎらず三十
六枚を具足(ぐそく)せり是(これ)を工夫し給ひ鯉(こい)に三十六枚の庖丁(ほうてう)を
作(つく)り給ふ彼卿(かのきやう)の清光(せいくわう)を尊(たつとみ)て世(よ)に四条流(しでうりう)と号(がう)すと也