翻刻
するにがらくたのかヽさゆることあたはずぐら〳〵〳〵と|崩(くづれ)立|微塵(みぢん)に成て|飛散(とびちつ)たり
されば八百万神の留|守(す)を|預(あづか)る|夷(えびす)三郎|此(この)|撥動(はつどう)を聞と|等(ひと)しく|出雲(いづも)の国へ
|飛脚(ひきやく)を以て|泡心(ほうしん)|櫛(くし)のはを|曳(ひく)がばしなれば大|社(やしろ)に|於(おい)て天|照(しやう)太神|驚(おどろ)き
給ふこと大かたならず|即(すなわち)|諸神(しよじん)をめしつどへ|早速(さつそく)に御|評(ひやう)義候も|鯰(なまづ)|征伐(せいばつ)の|追(つひ)
|討(とう)|使(し)として|鹿島(かしま)太神を大|将軍(しやうぐん)と定め|又(また)|大火(たいくわ)|防(ふせぎ)の為として|愛宕(あたご)かは|権(ごん)
|現(げん)を|副将軍(ふくしやうぐん)と定め給へひ其夜のうちに下し給ふ|郭(かく)て両神は|僅(わづか)のひま
に|関東(くわんとう)へ|御(ご)|帰陣(きぢん)候て|悪魔(あくま)|降伏(がうぶく)おん|敵(てき)|退散(たいさん)の|陣(ぢん)を|張(はり)|既(すで)に御勢を出
し給ふ||爰(ここ)に鹿島の|股肱(ここう)たる|要(かなめ)石之助不動は。|我(われ)|先(せん)陣と|呼(よ)ばわつて
ぬらくらだいたる|鯰(なまづ)勢の|真(まん)中へわつて入り|髭(ひげ)をつかんで|礫(つぶて)にとり打つべし
たたき|伏(ふせ)|当(あた)るを|幸(さひは)ひ|押(おさ)へ上ればこれが為に。へきゑきして|終(つひ)に|降参(こうさん)れり
しかば|大将(たいしやう)|揺高(ゆりたか)を|高手(たかて)|小手(こて)にいましめて|磐石(ばんじゃく)をもて|押(おさ)へとし|是(これ)に|番(ばん)を
|附置(つけおき)て|地震番(ぢしんばん)となづけたり その|余(よ)の|小(こ)なまづ|等(ら)は|半台(はんだい)へ|入(いれ)おき
|後(のち)に|蒲焼(かばやき)|屋(や)へ|下(くだ)はれけるとぞ|又(また)|火防方(ひふせがた)の|大将(たいしやう)|愛宕山大権現(あたごさんだいごんげん)は
|水神(すゐじん)へ|御(お)|下知(けぢ)|有(あつ)て|諸方(しよはう)の|火(ひ)の|手(て)を|防(ふせ)がしめにふそのめん〳〵は|玉川(たまがは)|茶(ちや)|水助(みづすけ)。
|清澄(きよずみ)|神田川(かんだがわ)|用水(やうすい)|斎(さい)|堀抜(ほりぬき)|井戸(いど)|進(しん)。|車井(くるまゐ)|釣瓶(つりべい)。|龍越(りうこし)|玄番(げんばん)。|天水(てんすい)|桶吉(おけきち)
|等(ら)。|一手(いつて)に|成(なつ)て|爰(こヽ)を|先途(せんど)を|防(ふせ)ぎつつ|火水(ひみづ)に|成(なつ)て|戦(たたか)ひけるにはや|夜(よ)も|明(あけ)
て|日輪(にちりん)の|光(ひか)りに|火(ひ)の|手(て)は|下火(したび)となり|四方(しはう)に|上(まい)る|水(みづ)の|手(て)に。|打消(うちけさ)れて石
|見(ミ)へければ|軍(いくさ)は|勝(かち)ぞと|一同(いちどう)に|時(とき)を|作(つく)りしゑい〳〵|声(ごゑ)|此時(このとき)おくれて|先(さき)
|来(きた)る|味方(みかた)の|遊軍(やうぐん)|職人(しよくにん)|勢(ぜい)|手間(てま)|高大(こうだい)|九郎(くらう)|家立(いへたて)。|加部(かべ)の|左官(さくはん)|太(た)|仲(なか)
|塗(ぬり)。|土方(どかた)|日(ひ)やとひ|助成(すけなり)。|高張(たかはり)|丸太郎(まるたらう) |家押(いへおし)。|渋板(しぶいた)はめ|六(ろく)|釘打(くぎうち)|等(ら)|追(おひ)