翻刻
【右】
全家悉く死亡し嗣を絶し産を失ふ者挙げて算ふべか
らず豈悲歎すへきの甚しき者に非ずや此に於てか
官之 ̄レを愍み給ひ吾輩をして西土諸書の中より凡 ̄ソ此病に
関係する要件を撮譯せしむ吾輩褥く其命を奉して其
流行を預防する用心の法の如きは先に鈔譯して聚珍
版となし世に公にしけるに之 ̄レを乞う者日に多くして忽
ち竭きたるを以て今又更に校正加へ其外之 ̄レ
を預防
する方法より人々の心得置くき諸件に至るまで諸
書より數條を鈔譯し集て以て一篇の書とはなしぬ
一 コレラとは來吐瀉病の義にして近時流行する惡病
【左】
世俗のコロリと稱する者は西土にて亜細亜コレラと
云是れ亜細亜地方より起れる霍乱と云の義なり張氏
醫通に番沙内科新説に絞膓痧六合叢談に痧病と云も
皆此病の事なり故に篇中只痧病と記するも亦此病の
事にして他病を指すにあらず又疫と云はレハント疫
發黄熱コレラ病及び黒痘等総て傅染せる急劇病の総
稱なれば或は處によりコレラ病を指して単に疫と云
ことも之 ̄レあり讀む者宜しく混ずることなかるべし
此病の原因治法未だ詳ならされば又妙効藥と稱すべ
き者なし故に西書中其藥方を出せる者甚だ少し但 ̄シ篇