デジタルアーカイブ福井の資料を翻刻

コレクション: 松平文庫

温古集 五巻 - 翻刻

温古集 五巻 - ページ 74

ページ: 74

翻刻

温泉なれは其旨郡役所へ届出て不取敢仮浴 室を設け一時評判盛なるより諸方ゟ群集 見物に来り入浴を試み現効を覚へ且福井坂 井港両病院より医員派出検査せられしに 何れも劣らぬ良質の温泉なれば種々の原 索ありて諸病に効験疑なし故に有馬温泉の 右に出るも近き所々の温泉には中々劣るまじき 由沙汰せり右地所は四ケ村共屈曲入交りにして 其回辺は荒蕪不毛之地なりしも福井坂井港は 申に及ばず金津其地所之方々ゟ地所借受種々 様々の商法争ひ競ふて開店し四月七日開業 式を行へり   因に云古代いつの頃にや吉田郡岡保郷に温   泉出しを加州山中ゟ故障して湯本を穢せし   由言伝へあれとも慥成証跡もなき事故信し   難し又天保の末坂井郡天菅生村に温泉   湧出す迚大造なる湯小屋を建築し殊に   旅籠屋数軒寄麗に普請し種々の趣   向を設け暫時賑はしかりしに素々無実   之企事にや有けん程なくつぶれて今は