← 前のページ
ページ 122 / 168
次のページ →
翻刻
【欄外に】
解按スルニ魯
西亜?国見録
人物の条下に云
女之衣服も筒
袖にて腰より上を
細く仕立云々
髪の毛は白き
粉をぬ?けかけ
結ひ申候云々
これによりて見る
ときは此蛮女
の頭髻の白きも
白き粉を塗たる
ならん魯西亜
属国の婦人なるや
ありけん猶たつ
ぬへし
【本文】
そか眉を髪の毛の赤かるにその顔も桃色にて頭髻は
仮髪(イレカミ)なrか白く長くして背に垂たりそは獣の毛かより糸
歟これをしるものある事なし迭に言語の通せねはいつこのも
のそと問ふよしもあらすこの蛮女二尺四方の箱をもてり特
に愛するものとおほしくしはらくもはなさすして人をしもちか
つけす其船中にあるものをこれかれと検せしに
水二升許小瓶に入れてあり《割書:一本に二升を二斗に作り小瓶を|小船に作れりいまた孰か是を知らす》
敷物二枚あり
菓子やうのものあり又肉を煉りたる如き食物あり
浦人等うちつとひて評議するをのとかに見つゝゑめる
のみ故老の云こは蛮国の王の女の他へ嫁したるか䖭?夫?有て
その事あらはれその密夫は刑せられしをさすかに王のむすめなれは
殺すに忍すして虚舟(ウツロフネ)に乗せて流しつゝ生死を天に任せしもの歟
しからはその箱の中なるは密夫の首にやあらすらんむかしに
かゝる蛮女のうつろ船に乗せられたるか近き浜辺に漂着せ
しことありけりその船中には俎板のこときものに載たる人の
首のなま〳〵しきかありけるよし口碑に伝るを合し考れは
件の箱の中なる類のものなるへしされは蛮女かいとをしみて
身をはなさゝるなめりといひしとそこの事 官府へ聞え
あけ奉りくは雑費も大かたならぬにかゝるものをは突流したる