翻刻
又河浦村は狼煙村へ行半途にあり此所の黒崎と
いふに火打石の名石ありいか程へりても角の
うせることなし色は黒く飴色也馬脳類なり
御留石になり取る事ならす又嶋立といふ処に
礒山の腰に洞ありて奥しれす内浦の松波
村郷の口の例といふへ通ふしたるといへり
又狼煙村へ行上野の広し春のころは雲雀の
名前にて海も山も転り面白き事限なし
野も山も海も礒も沖も渚も転る
雲雀の只余念なく詠め居る折から
傍に寄藻搔く蜑のありて雀を
詠むかといふいやわれは雲雀を詠む
といふ蜑の曰雀は小鳥といふ文字なら
すや爰元は海へ鳴き行けは海雀と
言へきやせわし〳〵といわれて