翻刻
【右】
鉛の字と。とりちがへたる文盲(もんまう)さに。元禮も興(きよう)を
さまし。そう〳〵其家を立/去(さり)たるとぞ。飴は脾胃(ひい)を
やしなふもの鉛は脾胃をそこなふもの。雲泥(うんでい)の違(ちがひ)
なり唐土は文字の國(くに)なるにかゝることあり。まして
我(わが) 邦(くに)には。あさましき醫者おほく。しらざる
ことおも曲理(こじつけ)にいひまぎらかし。萬病(まんびやう)しらざること
なき顔(はほ)をして。今日を渉(わたる)がおほし。又此病を
わづが十人二十人治療(ぢれう)して。たゞ紙上(しじやう)のはしくれを
【左】
おぼへたるまゝ。鏡(かゞみ)にうつし見るがごとく廣言(くわうげん)を
吐(はき)ちらし。いまだ經験(けいげん)もせざる藥を投(とう)ずるも
あり。或は家方(かほう)秘方(ひはう)などゝとなへ。奥(おく)ゆかしく
おもはせて。たぶらかすたぐひもあり。人民(にんみん)の為(ため)に
する藥なるに。何がゆへに秘方/秘傅(ひでん)といふことあらん。
此黨(このともがら)を小人醫(せうじんい)となづけて醫師の中(うち)の蛇蝎(どくむし)なり。
此外に見聞(みきく)に忍(しの)びざるのてだてをなして。
俗人をたらすあり。今の世天理を恐(おそ)れ。心力(しんりよく)を