翻刻
【右丁】
善悪道中記第二編
《割書:善(ぜん)|悪(あく)》迷所図絵(めいしよづゑ) 全
頂恩堂販
【左丁】
曩(さき)に善悪道中記(ぜんあくだうちうき)と題(だい)して、人間(にんげん)一世(いつせ)の盛衰(せいすい)を旅中(りよちう)の趣(おもむき)になぞらへ戯(け)
作(さく)せしは。本(もとづく)ところは。宝暦(ほうれき)六 年(ねん)丙子年(ひのへねのとし)の印本(いんほん)。善悪道中独案内(ぜんあくだうちうひとりあんない)と題(だい)
せし。飛雄亭(ひいうてい)の著作(ちよさく)に拠(よれ)り《割書:豊芥了|听【所】蔵》こは世(よ)に大(おほい)に行(おこな)はれたりとて。
天明年中(てんめいねんぢう)。桃栗山人柿発斎(もゝくりさんじんかきはつさい)《割書:古人立川焉馬|初名》大通独案内(だいつうひとりあんない)と題(だいし)。青楼(せいろう)
通客(つうかく)の趣(おもむき)を述(のべ)て。本文(ほんもん)の小冊(せうさつ)に絵図(ゑづ)一枚(いちまい)を添(そえ)たり。其(その)体裁(ていさい)。飛雄亭(ひいうてい)の
作(さく)を摸擬(もぎ)す。夫(それ)より寛政年間(くわんせいのころ)山東京伝(さんとうきやうでん)。悟道独案内(ごだうひとりあんない)と題(だい)し。
或(あるひ)は善悪名所図会(ぜんあくめいしよづゑ)と号(なづけ)。基所(もとづくところ)宝暦(ほうれき)の。善悪独案内(ぜんあくひとりあんない)の趣(おもむき)に傚(なら)
へり。先哲(せんてつ)の妙案(めうあん)至(いた)れり尽(つく)せり。今将(いまはた)糟粕(そうはく)を䑜(なめ)て補綴(ほてつ)せしに。幸(さいはひ)
にして時好(じこう)に称(かな)ひ。販元(はんもと)不斗(はからず)利(り)を得(え)しとぞ。是(これ)よりして書肆(ふみや)は後集(こうへん)
の討求(もとめ)あり。然(さ)れども僕(やつかれ)素(もと)より戯作(けさく)を業(わざ)とせず。筆硯(ひつけん)煩多(はんた)の
故(ゆゑ)を以(も)て。去年(きよねん)再(ふたゝ)び稿(かう)を脱(だつ)せず。猶(なほ)後輯(こうしふ)の需(もとめ)頻(しきり)なれば許諾(うけひ)し