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【右丁】
は肺脘(はいくわん)呼吸(こきう)の往来(わうらい)するの処 胸(むね)腹(はら)は諸(もろ〳〵の)陽気(ようき)を受(うくる)の
処これを五所の要害(ようがい)といひて此所に痘(いも)の出る事多
きは悪症(あくしやう)也此所に出る事 稀(まれ)なるは吉(よき)也 惟(ひとり)四肢(しいし)《割書:手足|をいふ》
多しといへ共 妨(さまたげ)なきなりと保嬰論(ほうゑいろん)保赤全書(ほうせきぜんしよ)等(とう)の
書に見えたり
㊉痘瘡(いも)の形色(けいしよく)の善悪(せんあく)の説
○痘瘡の形色(かたちいろ)四時にしたがつて善悪をあらはすといへ共
概(おほむね)これをいへば四時にかゝはらす痘の色 紅(くれなゐ)にして黄(き)な
る色を面部(めんぶ)にあらはす者は吉也又 紅(くれなゐ)にして白を帯(おび)
眼中(がんちう)精神(せいしん)あつて症必両の臉(ほうさき)上に三つ四つほど出て
大小ひとしからず痘の色 光沢(くわうたく)にして根(ね)紅活(こうくわつ)なる
【左丁】
ものは薬を服(ふく)せずといへ共をのづから愈(いゆ)る事也と保
嬰論保赤全書等の書に見えたり
○痘の形(かたち)は尖(とがり)円(まとか)にして大きに起脹(きちやう)の時にいたつて大(だい)
豆(づ)を見るやうにして手にてその上をなづるにさら〳〵
として膿(うみ)をいつはいに持(もち)たるを最上吉(さいじやうきち)の痘(いも)といふ薬(くすり)を
服(ふく)せずしても愈(いゆ)るなり瘡皮(かさかは)厚(あつ)く硬(かたく)して皮(かは)平(たいら)
かに又は瘡(かさ)の形(かたち)凹(なかくぼ)にして其中に針(はり)にてつきたるほどの
穴(あな)ありて黒色(くろいろ)を少(すこし)にてもあらはすを悪(あし)き痘(いも)と心得
べきなり痘(いも)の形(かたち)は起発(きはつ)して心よく見ゆれ共その色
光(ひかり)沢(うるわし)からずその痘根(いものね)紅活(こうくわつ)ならざるは必九日め十一日目
ほどにして変症(へんしやう)出て悪くなるなりと保嬰論(ほうゑいろん)に見え