← 前のページ
ページ 130 / 169
次のページ →
翻刻
【右丁】
没薬(もつやく) 《割書:各等|分》 紅花(こうくは) 大黄(だいわう) 《割書:各半|分》 右 剤(ざい)として水煎
して服すへし一服(いつふく)にしてその痛(いたみ)退(しりぞ)くなりかならず
数貼(すてう)服(ふく)すべからず瘀血(おけつ)さんじて痛やむときは用べからす
○収靨(かせ)の時外 潰(つひゑ)て痘(いも)より膿汁(うみしる)を出し爛(たゞるゝ)者を水靨(すいゑん)
と名づく新(あらた)なる瓦(かはら)を細末(さいまつ)にして絹切(きぬぎれ)か布切(ぬのきれ)かにつゝみ
てふるひかけてかはかすべしと久吾聶(きうごじやう)の説に見えたり
和 俗(ぞく)は土器(かはらけ)を粉(こ)にしてふりかけ米(こめ)の粉(こ)をふりてとり
あつかふなりいづれもよきなり
㊁痘瘡(いも)収靨(かせ)の後 米泔水(こめのとぎしる)の湯(ゆ)にて浴(ゆあみ)するの説
○わが 日本の風俗(ふうぞく)にて痘瘡(いも)収靨(かせ)ていまだ痂(ふた)おちざる
前(まへ)に米泔水(こめのとぎしる)に酒(さけ)少ばかりを加(くは)え或は鼠(ねすみ)の糞(ふん)二ツばかり
【左】
入て沸湯となしてその湯にて痘を洗(あら)ひ沐浴(もくよく)すれは
痘よくかせて病者(びやうしや)こゝろよきにいたるなりこれを酒湯(さかゆ)
といふ酒湯(さかゆ)をかけて後その病者の居所(おりどころ)を掃除(さうぢ)し
痘の神の棚(たな)なども仕舞(しまい)て親族(しんぞく)打よりて祝(いは)ふ事
これ俗礼(ぞくれい)なり《割書:啓益》あまねく中花(もろこし)の書(ふみ)を考(かんがふ)るに米(こめの)
泔水(ときしる)にて洗(あら)ふ事を見ず京師(きやうし)東武(とうふ)の宿儒(しゆくじゆ)老医(らうい)に
尋(たづ)ねとふに其 出所(しゆつしよ)をしる者なしいつれの時何者の
仕初(しそめ)たる事にや天和(てんわ)壬戌(みつのえいぬ)の年 朝鮮人(てうせんしん)来聘(らいへい)せし時
朝鮮国の医師(いし)鄭東里(ていとうり)に此事を筆談(ひつだん)せしに朝鮮
国にては痘(いも)の色 紫黒(しこく)或は漿(せう)ひく事なく愈(いゆ)る事 遅(おそき)
き類を薬湯(くすりゆ)にて洗(あら)ふ事あれども善悪共に洗ひ又は