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【右丁】
いつれの代よりしはじめたる事にや男の子の紙鳶(いかのほり)
を挙(あぐ)るの意(こゝろ)とおなしかるべきなり倭学(わがく)に達(たつ)したる
人にたつぬべきなり
○男の児(ちご)五六歳の比(ころ)同し年比の類打よりて殿(との)
事(ごと)馬事(むまごと)などゝいふ事をなして或は竹馬(たけむま)に鞭(むち)うつ
の戯(たはむ)れみな武(ぶ)をならわしめ歩行(ほかう)を健(すくやか)にするの事
なりいづれも乳母(めのと)或はつきしたがふ所の者共心に
かけて小児 怪我(けが)をせぬやうに遊(あそ)び戯(たはふ)れしむべきなり
○女(め)の童(わらは)二三歳よりは炊事(まゝごと)といふ戯れをなすこれ
土座(どさ)に筵(むしろ)をしきておなじ歳比(としころ)の小児あつまりて
食(いゝ)炊(かし)くまねをする事なりいたつて鄙賤(ひせん)なる事
【左丁】
なれ共 銭英(せんゑい)の説(せつ)に小児は土と水とを常(つね)にもてあそ
ばしむればその熱(ねつ)鬱(うつ)の気(き)散(さん)じて病(やまひ)なしと見えたれ
は和俗(わぞく)此戯をなさしむる事は此意なるにや又食は人
を養(やしな)ふ根本(こんぼん)にして女は内を治(おさ)むる事をつかさどる故
にかく飯(いゝ)炊(かしく)まねをなさしむる事なるべし
㊄男女(なんによ)の小児(せうに)に教誨(きやうくはい)の説
○児子は見聞(みきゝ)馴(なれ)ふるゝ所にしたがつてその見まねを
するものなりそれ故(ゆへ)に孟子(もうし)の母(はゝ)は三度(みたび)隣(となり)をかへ給へり
始(はじめ)の居所(おりところ)墓(はか)のほとりに近(ちか)し孟軻(もうか)のいとけなき時
の戯れにみな人を葬(ほうむ)り死人(しにん)を土に埋(うづ)むるまねを
し給ひけり御母これ子を置(をく)所にあらずとてその後