東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 157

ページ: 157

翻刻

【右丁】 市街(いちまち)に居(をり)給へば衒賈(けんか)とて物を商(あきな)ひ或はふり売(うり)を するまねをのみ戯(たはふれ)とし給えり御母これまた子を置所 にあらずとて此 度(たび)は学宮(がくきう)とて学問(がくもん)する人をあつめて 教(をしゆ)る所の隣(となり)に居(をり)給へは孟軻(もうか)の戯(たはふ)れ事に儒者(じゆしや)の神(しん) を祭(まつ)る真似(まね)をなし或は礼儀(れいぎ)をなすかたちのまねを し給えり御母これを見給ひてこれ子をおく所なりと て遂(つい)に此所に住(すみ)給ひけり是いとけなき子を教(をしゆ)る第 一の事なり ○孟子のいとけなき時 東隣(ひがしとなり)の家(いへ)に猪(ぶた)を殺(ころ)すは何にか はするとたづね給へは御母きゝ給ひて戯れに汝(なんぢ)にあ たえんとの事なりとの給ひけるが已(すで)に後悔(こうくはい)し給るい 【左丁】 とけなき子をあざむくは偽(いつはり)を教るの事なりとて市(いち)に て猪肉(ぶたのにく)を買(かひ)て孟軻(もうか)にあたへ給へるなりケ様にそだ てたまへるによりてひとゝなりて大賢(たいけん)亜聖(あせい)の徳(とく) となり給へるなり ○司馬光(しばくわう)公(こう)五六歳の時 胡桃(くるみ)を弄(もてあそ)び給ふ光公の姉(あね) あり胡桃(くるみ)の皮(かは)をさらんとし給へ共去事なし姉その 座(ざ)を立給ひたる跡(あと)にて一婢(ひとりのこしもと)をよびこれを去せら る湯(ゆ)につけてその皮(かは)をさる姉(あね)来りて胡桃(くるみ)の皮は 誰(たれ)かさると問ひ給へは光公みづからその皮を脱去(もぬきさる)と こたへ給ふ父(ちゝ)これを聞(きゝ)給ひて光公を訶(しかり)て小子(せうし)なん ぞ偽(いつわり)をいふやと戒(いまし)め給えり此事いとけなき時の耳(みゝ)に