東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

【右頁】 王宇泰(わううたい)の説には児子浴せざる前に臍蔕を断ことなかれ 必臍蔕の断目より水 湿(しつ)の氣入て臍風臍瘡(さいふうさいそう)といふ 病を生すると戒(いまし)められたり然共本邦の風俗のごと く臍蔕を断て後浴せんとおもはゝ前にいふごとく能つゝみ まきて産湯をなす時は其 害(がい)なし ◯産後(さんご)胞衣(ゑな)下らざる事或は半日或は一両日を経て後下 る事あり大抵(たいてい)産ありて一時の前後に下るを吉とす 二時とも下る事なければ生子しきりに啼(なき)ていよ〳〵母の 気をやぶり目まひ心あしきにいたる此時はまづ収婆(とりあげばゝ)に 命(めい)じて早く臍蔕をたちて取擧(とりあぐ)べし寒暑(かんしよ)の時は なおさら生子いたむものなりもし臍蔕をたつ事 【左頁】 をそければ生子の氣母の腹(はら)に通(つう)じて胞衣(ゑな)も下りか ぬるものなり ◯臍蔕(ほそのお)をたちて其たちめに艾灸(やいと)【「かいきう」左ルビ】二三 壮(さう)ほどすれば その児子かならず無病にしてすくやかなりとてめ此す る人あり都の人はかつてせぬ事なり筑紫(つくし)の人 東(あづま)の 人はまゝ此事をなす《割書:啓益|》さきにつくしに住(すみ)ける時まの あたり此法をなす者を見るに多くはその児子無病なり親 の心にまかせて此法をなすべし児子などたび〳〵うし なひたる人などには此法をすゝめてなすべき事なり ◯収婆(とりあげばゝ)臍蔕をたつ時物に心得たる老女(らうぢよ)を付 添(そへ)て置べ し収婆の性おほくはひすかしく【理にはずれている。ねじけている。いすかし。】利慾(りよく)ふかし胞衣(ゑな)を盗(ぬすみ)