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【右頁】
王宇泰(わううたい)の説には児子浴せざる前に臍蔕を断ことなかれ
必臍蔕の断目より水 湿(しつ)の氣入て臍風臍瘡(さいふうさいそう)といふ
病を生すると戒(いまし)められたり然共本邦の風俗のごと
く臍蔕を断て後浴せんとおもはゝ前にいふごとく能つゝみ
まきて産湯をなす時は其 害(がい)なし
◯産後(さんご)胞衣(ゑな)下らざる事或は半日或は一両日を経て後下
る事あり大抵(たいてい)産ありて一時の前後に下るを吉とす
二時とも下る事なければ生子しきりに啼(なき)ていよ〳〵母の
気をやぶり目まひ心あしきにいたる此時はまづ収婆(とりあげばゝ)に
命(めい)じて早く臍蔕をたちて取擧(とりあぐ)べし寒暑(かんしよ)の時は
なおさら生子いたむものなりもし臍蔕をたつ事
【左頁】
をそければ生子の氣母の腹(はら)に通(つう)じて胞衣(ゑな)も下りか
ぬるものなり
◯臍蔕(ほそのお)をたちて其たちめに艾灸(やいと)【「かいきう」左ルビ】二三 壮(さう)ほどすれば
その児子かならず無病にしてすくやかなりとてめ此す
る人あり都の人はかつてせぬ事なり筑紫(つくし)の人 東(あづま)の
人はまゝ此事をなす《割書:啓益|》さきにつくしに住(すみ)ける時まの
あたり此法をなす者を見るに多くはその児子無病なり親
の心にまかせて此法をなすべし児子などたび〳〵うし
なひたる人などには此法をすゝめてなすべき事なり
◯収婆(とりあげばゝ)臍蔕をたつ時物に心得たる老女(らうぢよ)を付 添(そへ)て置べ
し収婆の性おほくはひすかしく【理にはずれている。ねじけている。いすかし。】利慾(りよく)ふかし胞衣(ゑな)を盗(ぬすみ)