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【右頁】
て薬肆(くすりや)に賣事あり俗説(ぞくせつ)に胞衣(ゑな)を取たる児子はそ
だちがたくそだてどもかならず寿命(じゆめう)短(みじか)しなど云へり
心得へし
◯胞衣(ゑな)を納るの法は胞衣を水にてあらひ杉の曲(まげ)物を白
くだみ【注1】て鶴亀松竹をゑがきて其内にをさめ吉(よき)方
角をえらび人の踏(ふま)ぬ所の土中にふかく納むべきなり千(せん)
金論(きんろん)には胞衣を納るには新(あたらし)き瓶(かめ)の内に納て青き帛(きぬ)
にて口をつゝみ其上を磚(かはら)にておほひ三日の後吉日吉方
をえらび陽(よう)に向ひて高所の地に埋(うつ)む事三尺にすべし
と見えたり拾芥(しうがい)抄【注2】に胞衣を納る吉日正月は亥(い)子(ね)二月は
丑(うし)寅(とら)三月は巳(み)午(むま)四月は卯(う)酉(とり)五月は亥(い)酉(とり)六月は寅(とら)卯(う)七月
【注1 だ・む「彩む」 他四=いろどる】
【注2 『拾芥抄』「しゅうがいしょう」は、中世日本にて出された類書「百科事典」。全3巻。元は『拾芥略要抄』とも呼ばれ、『略要抄』とも略されていた。】
【左頁】
は午(むま)未(ひつじ)八月は未(ひつじ)申(さる)九月は巳(み)亥(い)十月は寅(とら)申(さる)十一月は午(むま)未(ひつじ)
十二月は申(さる)酉(とり)是等(これら)の月に納むべし又忌日あり正二月は
申(さる)酉(とり)三四月は午(むま)戌(いぬ)五六月は申(さる)子(ね)七八月は寅(とら)戌(いぬ)九十月は
子 辰(たつ)十一十二月は寅(とら)午(むま)春は甲子(きのへね)夏は丙午(ひのへむま)秋は庚申(かのへさる)冬は
壬亥(みつのへい)又 申辰(きのへたつ)乙巳(きのとのみ)丙午(ひのへむま)丁未(ひのとのひつじ)戊申(つちのへさる)此等の日納むべからずと
のせたり
㊅産湯(うぶゆ)の説(せつ)《割書:付たり|》常(つね)に浴(ゆあみ)するの説
◯生れ子を洗(あらふ)ふ湯(ゆ)を和俗(わぞく)産湯(うぶゆ)といふ其水は新汲水(しんきうすい)とて
井よりあらたに汲たる水又は東流水(とうりうすい)とて西より東へ流た
る川水を汲(くみ)て湯に沸(わか)し熱(あつ)からずぬるからずよきほどに
むめあはせて児子を洗ふべし