東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

小児必用養育草 - 翻刻

小児必用養育草 - ページ 38

ページ: 38

翻刻

【右頁】 かけはしりの便(たより)なるにや又小児は日の升(のぼ)るがごとく月の まとかならんとするかごとく阳氣(ようき)さかんにして𤍽つよき故(ゆへ) に両(りやう)の腋(はき)をぬいさして其𤍽をもらさしむる意(こゝろ)なるにや 然るに此 理(り)をさとさぬ人 小児(せうに)の衣服(いふく)わきあけは風(かぜ)を引 やすしとて袖(そで)を短(みじか)くぬいつめて襦半(じゆばん)と名付(なつけ)或は阿蘭(おらん) 陀肌着(だはだき)などゝいひて肌(はだ)に着(き)せしむこれ𤍽氣(ねつき)をつゝみこめて もらさずはなはだ悪(あし)き事なり又 今時(いまどき)の婦人(ふじん)愚父(ぐふ)はふり袖 はたゞその風流(ふうりう)のみにして見かけの艶(ゑん)なるためとばかりおも ひて年たくるまでふり袖を着せしむ多くはその袖をはな はた長くして着するにより小児必かけ走(はしり)に足(あし)を袖にふみいれ て蹶(つまづ)きこけて疵(きず)つくる多し笑(わら)ふべき事なり  終