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【右頁】
かけはしりの便(たより)なるにや又小児は日の升(のぼ)るがごとく月の
まとかならんとするかごとく阳氣(ようき)さかんにして𤍽つよき故(ゆへ)
に両(りやう)の腋(はき)をぬいさして其𤍽をもらさしむる意(こゝろ)なるにや
然るに此 理(り)をさとさぬ人 小児(せうに)の衣服(いふく)わきあけは風(かぜ)を引
やすしとて袖(そで)を短(みじか)くぬいつめて襦半(じゆばん)と名付(なつけ)或は阿蘭(おらん)
陀肌着(だはだき)などゝいひて肌(はだ)に着(き)せしむこれ𤍽氣(ねつき)をつゝみこめて
もらさずはなはだ悪(あし)き事なり又 今時(いまどき)の婦人(ふじん)愚父(ぐふ)はふり袖
はたゞその風流(ふうりう)のみにして見かけの艶(ゑん)なるためとばかりおも
ひて年たくるまでふり袖を着せしむ多くはその袖をはな
はた長くして着するにより小児必かけ走(はしり)に足(あし)を袖にふみいれ
て蹶(つまづ)きこけて疵(きず)つくる多し笑(わら)ふべき事なり 終