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【右頁】
と見えたり運歩集(うんほしう)にかにとりとは龜鳥(かめとり)をいふ五音(ごゐん)通ず
る故(ゆへ)なりと見えたり鸖龜(つるかめ)を付る事は齡(よはひ)の久(ひさ)しきに
とるなり和俗(はぞく)多(おほ)くはかにとりといふ事をしらずしてかに
鳥とはかにとり草(くさ)といふものありなどゝいひてあやし
く名もしれぬ草などをそめ付る類(たくひ)多(おほ)し甚(はなはだ)しき
者は蟹(かに)と鳥(とり)とを付るもありわらふべき事なり講説(かうせつ)
には生れ子に新(あらた)なる衣類(ゐるい)を着せしむべからざるのことの
もとなりと傳(つた)え侍(はべ)るなり中花(もろこし)日本(にほん)共(とも)に昔(むかし)より小児には
あらたなる衣類を着する事をいましめたる意(こゝろ)をさとる
べきなり
◯日本の風俗(ふうぞく)にて生子に着する衣類に紐(ひも)をつけて
【左頁】
二三歳まではゆるりとむすびてをく事なりこれも
小児は𤍽(ねつ)つよきものなればねつをつゝみこめまじき
との事たるべし三四 歳(さい)にいたりて長(おとな)のごとく帯(おび)をさ
する事なり
◯日本の風俗にして小児の衣服(いふく)男女(なんによ)共(とも)に十五六
歳
までは脇(わき)の下をぬいさして着せこれをわきあけと
いひ又は振(ふり)そでといふ《割書:啓益|》おもふに皇太子(くわうたいし)親王(しんわう)以下(いげ)
も御幼稚(ごようち)の間(あいだ)は缺腋(けつてき)とて脇(わき)あけの御袍(おんうへのきぬ)を召(め)さ
せ給ふよし此 意(こゝろ)はいとけなき中(うち)はかけはしりの便(たより)に
よきためなりと傳(つた)へ侍(はべ)る此等(これら)の事によりて見れば
いとけなき者に脇あけを着するは屈伸(くつしん)【「のびかゞみ」左ルビ】《割書:のびかゞみの|事をいふ》