← 前のページ
ページ 95 / 169
次のページ →
翻刻
【右丁】
又十一の椎(ずい)の両方を灸するもあり《割書:和俗 中折(なかおり)といふ十一|の椎は廿一椎の真中》
《割書:なれは|也》され共 故(ゆへ)なきに小児に二歳までは灸する事
なかれと王隠君(わうゐんくん)の説(せつ)にもあれは二歳のうちは見合
すべきなり三歳の春より灸したるがよきなり
五疳(ごかん)の病ある小児 癖積(へきしやく)【左ルビ:つかへ】ある小児には天枢(てんすう)《割書:臍の両脇|ひらくこと》
《割書:をの〳〵一寸五分|の所をいふ》又は中脘(ちうくわん)《割書:むねの下の鳩尾(きうび)の骨(ほね)と|臍の上との真中をいふ也》の穴(けつ)を灸
してよし京都(きやうと)近年(きんねん)の風俗(ふうぞく)に腹(はら)に灸すれは息(いき)短(みじか)
くなるなど云て灸せぬ類の者多し道理にくらき
人の申事なり腹(はら)に灸(きう)して悪(あし)き事ならはいにしへの
医聖(いせい)なんぞ腹に灸穴(きうけつ)を定(さだ)むべしその上京都にて
も五十已上の人は多く腹に灸の跡(あと)あるなりたゞ
【左丁】
近来(きんらい)の俗説(ぞくせつ)なり病ある小児にはかならず腹に灸す
べきなり小児の艾炷(やいと)は雀(すゞめ)の糞(ふん)ほどにして十壮(じつさう)
より二十 壮(さう)なでにてやむべきなりと孫真人(そんしんじん)の説に
見えたり小児の病薬を服(ふく)してもその験(しるし)すくなき
ときはかならず右にいふと所の灸穴(きうけつ)その外にも上手
の医師(いし)に相談(さうだん)してよき穴をたづねて灸すべ
き事なり大抵(たいてい)無病(むびやう)なる小児にも二月八月にかな
らず身柱(ちりけ)十一の兪(ゆ)は灸すべき也病を生ずる事
なし能々可心得事也