翻刻
【右丁】
かげんあしくとも魚鳥膏(うをとりのあぢ)にて
物(もの)まぎれすれども精進(しやうじん)には昆布(こんぶ)
干瓢(かんひやう)の出(だ)しばかりなれば猶(なほ)さら
念(ねん)を入(いる)べき事なり
一/膳椀(ぜんわん)鉢皿(はちさら)其外/器物(きぶつ)ふき拭(□□)【ぬくヵ】ひ
心(こゝろ)を付(つく)べし膳立(ぜんだて)早(はや)く做(なし)おき
其まゝ出(いだ)すときは膳椀(ぜんわん)に埃(ほこり)つ
もりあるひは香物(かうのもの)干(ひ)からひ□
甚(はなはだ)不馳走(ふちさう)なりよつて膳(ぜん)を
いたすときは一ツ(ひとつ)〳〵あらたむべし
【左丁】
又/箸(はし)に心(こゝろ)を付(つけ)壱本々々よく
あらため打べし其外いさゝかの
事(こと)にても内外(うちと)の召(めし)つかひ又は
料理人(れうりにん)に任(まか)せおき自然(しぜん)不行届(ふゆきとゞき)
あらんときは高主(ていしゆ)一人に帰(き)して
のがまゝ所なし
右の条々(でう〳〵)は皆(みな)古人(こじん)の戒(いまし)めおかなく
処(ところ)なれはゆるかせにな思給ひそ
此外(このほか)高主(あるじ)席上(せきしやう)の気(き)くはり配(はい)
膳(ぜん)の心得(こころえ)あるひは客(きやく)入/来(で)退(いり)出