翻刻
【右丁】
第(たい)一なり何(いか)ほどの馳走(ちそう)たりとも
飯(はん)の加減(かげん)あしきときは馳走(ちさう)と
ならず別(べつ)して冬(ふゆ)の日(ひ)には熱飯(あつはん)
一種(いつしゆ)の馳走(ちそう)と心得(こゝろう)べしたとへ
三汁(さんじう)十一/菜(さい)の饗応(きやうおう)なりとも
第一/飯(めし)第二/本汁(ほんしる)第三/平(ひら)皿等
此三種/別(べつ)して心を用(もち)ゆべし三/種(しゆ)
よろしけれはおのづから料理(れうり)すゝむ
ものなり
一/素人(しろうと)は庖丁(ほうてう)盛方(もりかた)などはじめは
【左丁】
いかにも心(こころ)楽(たの)しく丁嚀(ていねい)なれとも
切刻(きりきさ)み数多(あまた)になれば自然(しせん)退屈(たいくつ)
して疎略(そりやく)になるものなり兎(と)
角(かく)初中後(しよちうご)とも同(おな)し手際(てぎは)肝要(かんよう)也
扨又/惣(さう)じて魚鳥(きよてう)山野(さんや)の産物(さんぶつ)等
水(みづ)あらひ丁寧(ていねい)にすべしたとへ一遍(へん)
にてよきも二/度(と)三/度(と)づゝあらうべし
家具(かぐ)鉢皿(はちさら)のたくひも同し
一/精進(しやうじん)料理(れうり)取(とり)わけ塩梅(あんばい)加減(かげん)
心得(こゝろう)べし魚類(きよるい)はたとへすこし