翻刻
【右丁】
蚕下(こした)ともに蚕(かひこ)をすくひ取 能(よく)燥(かは)きたる外(ほか)の器(うつは)にすりぬかをふり其うへに
紙(かみ)を敷(しき)蚕(かひこ)を并(なら)べ置 斯(かく)のごとしくて六七日 養(やしな)ヘば蚕少 白色(しろいろ)にはぜてみゆる也
○此時 口伝(くでん)あり前年(まへどし)の秋 早稲(わせ)のすりぬかを蚕種(こたね)壱枚に凡(およそ)五六 俵(へう)宛(あて)に用(よう)
意(ゐ)し蚕 生(うま)るゝ前(まへ)彼(かの)すりぬかをからうすにてこまかに砕(くだ)き是を粉米篩(ここめとをし)
にてとをし下(した)へもりたる所を又すいのうにてとをし埃(ほこり)を去(さ)り中(なか)にたまり
し所を取置 或(あるひ)は明日の昼前(ひるまへ)に蚕の居尻(ゐじり)取(とり)かへんと思はゞ前日(ぜんじつ)の夜(よ)桑(くわ)
喰(くは)す前(まへ)に彼(かの)こまかなるすりぬかを蚕のうへにばら〳〵とむらなく能程(よきほど)に
薄(うす)くふりかけて直(じき)に桑の切粉(きりこ)をふりかけ加減(かげん)能(よく)喰(くは)すべし斯(かく)のごとく
する時は蚕ぬかを嫌(きら)ひ上(うへ)へぬけ出桑へ這上(はひあが)るなり但(たゞし)余(あま)り厚(あつ)くぬかを
ふれば蚕ぬかの下(した)にすくみ居(ゐ)て上(うへ)へ出ず加減(かげん)あり□#1 其日(そのひ)の朝桑を喰(くは)
せ少し間(ま)を置 居尻(ゐじり)取かゆべし図(づ)の如(こと)く器(うつは)を少し傾(かたむ)け器(うつは)のすみより
【左丁】
羽(はね)にて蚕をまくり取(とり)外(ほか)なる
器(うつは)へ入替(いれかゆ)べし此 尻(しり)かへの時 是迄(これまで)
器の中(なか)に居(ゐ)たりし蚕は今度(こんど)
は縁通(ふちとをり)に置 今(いま)迄 縁通(ふちとをり)に居(ゐ)しは
此度 中通(なかとをり)に置べし是は器(うつは)の
中(なか)と縁(へり)と纔(わづか)ながらも寒暖(かんだん)の
違(ちが)ひある故(ゆへ)に蚕を一様(いちやう)に揃(そろへ)んが
為(ため)斯(かく)のごとく座(ざ)を入替(いれかへ)置なり尤(もつとも)
すりぬか遣(つか)ひ加減(かげん)能(よく)すればしり
がへに早(はや)く奇妙(きめう)の仕方(しはう)也此 尻替(しりがへ)
の時 椹(ふなべ)を喰(くは)すならば三 度(ど)喰(くは)せ
【左丁図中】
蚕(かひこ)黒子(くろこ)の時
居尻(ゐじり)とり
かゆる図