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コレクション: 養蚕の書

養蚕秘録 3巻. [2] - 翻刻

養蚕秘録 3巻. [2] - ページ 11

ページ: 11

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【右丁】 て後(のち)居尻(ゐじり)取替てよし又 桑葉(くわは)ならば弐度喰て後(のち)居(ゐ)うら取替(とりかへ)てよし始終(しぢう) 獅子(しし)の居起(ゐおき)より船(ふな)の起(おき)まて居尻(ゐじり)取替(とりかゆ)る度毎(たびごと)にすりぬかつかふべし遣(つか)ひ加減(かげん) 前(まへ)のごとし此(かく)の通(とをり)にして尻替(しりがへ)すれば至極(しごく)早(はや)く蚕跡(かひこあと)にも強(しゐ)て残らず妙也 唯(たゞ)蚕の変(へん)は夜(よる)四ツ時より朝(あさ)五ツ過(すぎ)までの寒(さむ)さにありと知(し)るべし此時 陽気(やうき)に随(したが)ひ 火も少しは焼(たく)べししかし火は焼加減(たきかげん)にて蚕に薬ともなり又 毒(どく)とも成(なる)べし 又 炭火(すみび)は宜(よろし)からず諺(ことはざ)にも春蚕(はるこ)は煙(けふり)で飼(か)へ夏蚕(なつこ)は風(かぜ)で飼(か)へといへる事あり 然(しか)れども火は口伝(くでん)あるものにて其 心得(こゝろえ)なき人は必(かならず)焼(たく)べからず免角(とかく)陽気(やうき)は 前(まへ)にいふごとく常(つね)に我身袷(わがみあはせ)にて能程(よきほど)にすべし戸(と)の透(すき)は能々(よく〳〵)紙(かみ)にて張(は)る べし透間(すきま)の風(かぜ)は陰(ゐん)にして甚(はなはだ)寒(さむ)きものなり窓(まど)の開閉(あけとぢ)にて加減(かげん)すべし 蚕(かひこ)出(いで)て七八日より十五六日迄 蚕母(さんぼ)は蚕の傍(そば)を去(さ)らず手入れの手段(しゆだん)其家の 向(む)き万事(ばんじ)気(き)を付べき事 専要(せんえう)也又 気(き)の籠(こも)らぬ様にすへき事 至(いたつ)て大切(たいせつ)也 【左丁】     蚕(かひこ)に大小(だいせう)出来(でき)ざる心得(こゝろえ)の事 蚕 幼(おさな)き黒子(くろご)の時 掃落(はきおと)し種(たね)壱枚分三尺四方の積(つもり)にせず鍋(なべ)の尻(しり)を見る ごとく真黒(まつくろ)に見ゆる程(ほど)厚(あつ)くする事 性(しやう)悪(わろ)くなる根元(こんけん)なり譬(たとへ)ば一 切(さい)の作物(さくもの)にて も厚(あつ)く植(うゆ)ればふとらず実入(みいり)も悪(あし)きが如(こと)し愚成(おろかなる)人(ひと)は蚕に捨扶持(すてぶち)を与(あたふ)る 如(こと)く一日に一 度(ど)漸(やうやく)弐 度(ど)程桑を与(あた)へる故(ゆへ)大方(おほかた)の手入(ていれ)もあしく桑のふり様 抔(など) にもむら有て疎略(そりやく)なる故(ゆへ)蚕の性(しやう)あしく成大小 不揃(ふそろひ)になる也 飼方(かひかた)の口伝(くでん)を 覚(おぼへ)本法(ほんはふ)をもつて養育(やういく)せば中々 仕損(しそん)じ有間敷(あるまじき)なり元(もと)より蚕は情(じやう)を備(そなへ)たる 霊虫(れいちう)にて尋常(よのつね)の虫(むし)とは違(ちが)ひ其席(そのせき)を去(さ)らず居(ゐ)て桑も我前(わがまへ)に来(きた)れば喰(くひ) 来(きた)らざるとて彼方(かなた)此方(こなた)歩(あゆ)み廻(まは)り卑(いや)しく育(そだ)つ虫(むし)にあらず此 理(り)を考(かんがへ)随(ずひ) 分(ぶん)気(き)を付(つけ)桑の宛(あてが)ひ様等むらなき様にすべし其中(そのなか)には心はげしき蚕 も有れば又 大様成(おほやうなる)蚕も有べし彼(かの)厚飼(あつがひ)にする時は達者成(たつしやなる)蚕 弱(よは)き