翻刻
【右】
心(じん)の念(ねん)を生(しやう)ずるときは右(みぎ)の箇條(かでう)を容易(ようい)に為(な)し
得(う)べき事柄(ことがら)にして格別(かくべつ)に骨(ほね)を折(を)るにも及(およ)ばず
又(また)多(おほ)く金銭(きんせん)を費(つい)やすにも非(あら)ず詰(つま)る所(ところ)は只(たゞ)人々(ひと〳〵)
の用心(ようじん)にあるのみ今(いま)再(ふたゝ)び前(まへ)に述(の)べたる事項(ことがら)を
約(つゞ)めて簡単(てみじか)に繰返(くりかへ)し各人(ひと〴〵)に合点(がてん)し易(やす)からしむ
事を左(さ)の如(ごと)し
<第一>家(いへ)を建(たつ)るには乾(かは)きたる清潔(せいけつ)の土地(とち)を撰(えら)
むべし
<第二>床(ゆか)は高(たか)く張(は)りて其下(そのした)に風(かぜ)を通(とう)すべし
<第三>便所(べんじよ)は度々(たび〳〵)掃除(さうぢ)して久(ひさ)しく蓄(たくは)ふから
【左】
ず
<第四>
下水(げすゐ)は遠(とは)く住居(すまひ)を離(はな)して其(その)瀦水(たまりみづ)を浚通(さらひとほ)
すべし
<第五>庖厨(たいどころ)の残棄物(すたりもの)を住居(すまひ)の近傍(まぢか)に置(お)くべか
らず
<第六>両便(りやうべん)其他(そのほか)の汚水(よごれみづ)は地下(ちか)に滲(し)み込(こ)みて家(いへ)
の下(した)に潜(うつ)らぬ様(やう)にすべし
<第七>腐(くさ)りたる魚類(いをるゐ)野菜(やさい)は家(いへ)の内(うち)に置(お)くべか
らず培料(こやし)小屋(ごや)は遠(とほ)く離(はな)して建(た)つべし
乙 飲水(のみみづ)