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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之16 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之16 - ページ 10

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【右丁】  《割書:小神祠(こほこら)ありその像(さう)朽損(くちそん)す前(まへ)に|一片(いつへん)の古(ふる)き絵馬(ゑま)あり前足(まへあし)の|ところその板(いた)破裂(はれつ)す公(こう)すなはち|糸(いと)をもつて繋補(けいほ)し|前(さき)の神言(しんけん)をこゝろみんと|して次(つき)の夜(よ)も猶(なを)樹下(しゆか)に|宿(しゆく)す中夜(ちうや)また騎馬(きは)の人|来(きた)つて翁(おきな)を問(と)ふ翁 馬(むま)に乗(しよう)|してさきに進(すゝみ)て出さり|暁(あかつき)に至(いた)つて帰(かへ)りきたり|公(こう)に向(むか)ひ謝(しや)して云〳〵師(し)|馬(むま)の脚(あし)を治(ち)し給ふこと 幸(さいは)ひに堪(たえ)たり公(こう)問(とふ)騎馬|の人は何そ翁(おきな)曰 役疫神(ゑきしん)|管内(くわんたい)を巡(めく)れるなり我(われ)|も其 前驅(せんく)たりもし出されは|かならす罵(のゝしり)を受(う)く今(いま)師(し)の|恵(めくみ)を蒙(かうむ)り喜慶(よろこひ)甚(はなはた)深(ふか)しと云云|丙辰記行(へいしんきかう)に昔此所に牛鬼(うしおに)の出て|走(はし)りありきし事を心に不図(ふと)思ひ出て|馬(むま)こそ大士(たいし)の化現(けけん)なれなにとて|牛(うし)は出けるそおかしかりきとあり また|挙白集(きよはくしふ)あつまの道(みち)の記(き)に云く|浅草(あさくさ)の観音(くわんおん)とて国(くに)ゆすりてもて|なす仏(ほとけ)おはす口(くち)にまかせて》 【図】 所提筆 【左丁】   いかなれや野辺にかり飼ふ浅草の くはむおむ(◦◦◦◦◦)まのはみのこしつる  長嘯子   《割書:按(あんする)に挙白集(きよはくしふ)なとにも其事となけれとかはかり趣(おもむき)の似(に)たる事を詠(えい)せりまた丙辰記行(へいしんきかう)にも馬(むま)を|大士の化身(けしん)なりなと旁(かた〳〵)此 絵馬(ゑま)に霊(れい)ありて抜(ぬけ)出たる事(こと)なしとも云へからす此 絵馬(ゑま)昔も人の|もてはやしけるにや寛永(くわんえい)年中 観音堂(くわんおんたう)回録(くわいろく)のとき木村市兵衛といへる者来り名画(めいくは)の筆跡(ひつせき)|焼(やけ)うせん事を歎(なけ)き助(たす)け出したりとて別当(へつたう)智楽院僧正(ちらくいんそうしやう)其 志(こゝろさし)を感(かん)して絵馬(ゑま)の縁(ふち)に左の|如(こと)く記(しる)し置(をか)れたり|寛永十九壬午二月十九日炎焼之時武州江戸之住木村市兵衛出之》  紅葉狩絵馬(もみちかりのゑま)《割書:同し所に掲(かけ)たり曾我蛇足(そかのしやそく)九代孫(くたいのそん)曾我紹叔(そかのせうしゆく)|の筆(ふて)なり》  静長刀(しつかのなきなた)《割書:本堂の後(うしろ)の方 家帯(なけし)にかけてあり世に義経(よしつね)の妾(おもひもの)静御前(しつかこせん)納(おさむ)る所なりと云 伝(つた)へたりこれ|恐らくは静流(しつかりう)の長刀(なきなた)ならん歟(か)あるひは云 長刀鍛冶(なきなたかち)志津(しつ)三郎 兼氏(かねうち)の作なるへしと》  山門(さんもん)《割書:楼上(ろうしやう)に文殊菩薩(もんしゆほさつ)の像(さう)を安置(あんち)す楼下(ろうか)の左右には金剛力士(こんかうりきし)の像(さう)を置(をく)来由(らいゆ)は此巻 報恩(ほふおん)|寺 什宝(しふはう)蛇反剣(しやかへしのつるき)【釼は俗字】の条下(てうか)に詳(つまひらか)なりされと往古(むかし)の霊像(れいそう)は回録(くはいろく)に亡(ほろひ)たりとそ今(いま)ある所(ところ)の像(さう)は》  《割書:後人(こうしん)の作(さく)なり毎年 春秋(しゅんしう)二度の彼岸(ひかん)の中日(ちゆうにち)ならひに正月七月十六日は諸(しよ)人の登(のほ)る事をゆるす》  額(かく)【額字】《題: 浅草寺》 曼珠院(まんしゆゐん)二品良尚法親王(にほんりやうしやうほふしんわうの)真蹟(しんせき)  五層塔(こそうのたふ)《割書:山門の内右の方にあり|内に五智如来(こちのによらい)を安置(あんち)す》転輪蔵(てんりんさう)《割書:同所にあり一切経(いつさいきやう)を収(おさ)む前(まへ)に傅大士(ふたいし)ならひに普(ふ)|賢(けん)普成(ふしやう)の像(さう)を置(おく)此(この)ふたつの堂(たう)は其始 安房守(あはのかみ)公(きん)》  《割書:雅(まさ)の建立(こんりふ)にして今ある所の堂(たう)は天和(てんわ)年中|焼亡(しやうはう)の後(のち)の御建立(ここんりふ)なり》随身門(すいしんもん)《割書:同所 東(ひかし)の方にあり豊磐間戸(とよいはまとの)|命(みこと)櫛磐間戸命(くしいはまとのみこと)の像(さう)を置(をけ)り》鐘楼(しゆろう)《割書:同所|にあり》  《割書:按(あん)するに本尊(ほんそん)縁起(えんき)の中(なか)に永和(えうわ)四年戊午十二月十三日 伽藍(からん)回録(くわいろく)あり嘉慶(かけい)元年より三歳(みとせ)の居諸(きよしよ)を|送(をく)るといへとも未(いまた)一宇(いちう)の再興(さいこう)も致(いた)さす大衆(たいしゅ)愁吟(しうきん)絶(たえ)さる所に修行(しゆきやう)の聖(ひしり)定済(ちやうさい)なるもの十方(しつはう)に勧進(くわんしん)》