翻刻
【右丁】
往古(そのかみ)土師臣中知(はしのをみなかとも)をよひ
檜前浜成(ひのくまのはまなり)武成(たけなり)等(とう)の
主従(しゆう〳〵)浅草川(あさくさかは)に網して
観音大士(くはんおんたいし)の霊像(れいさう)を
感得(かんとく)せし頃此地の
草刈(くさかり)集(あつまり)て藜(あかさ)を
もて仮(かり)の御堂(みたう)を作(つくり)
其内に彼(かの)本尊(ほんそん)を
安置(あんち)し奉(たてまつ)りけると
いひ伝ふ其 旧跡(きうせき)は今の
東谷(ひかしたに)《振り仮名:一の権現|いち こんけん》の地
なり草刈(くさかり)は後(のち)神(かみ)に
奉(ほう)して十社権現(しつしやこんけん)と
いつきまつれり