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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之15 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之15 - ページ 38

ページ: 38

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【右丁】  不動尊(ふとうそん)は即(すなはち)大師(たいし)の作(さく)なり其後(そののち)あまたの星霜(せいそう)を経(へ)て荒廃(くはうはい)  にをよひ他(た)の宗風(しうふう)に化(くは)せり天文(てんふん)の頃(ころ)中興(ちうこう)阿闍梨(あしやり)看印(かんゐん)なるもの  曩祖(なうそ)開基(かいき)の霊地(れいち)をして他(た)の宗風(しうふう)に転(てん)せし事(こと)を歎(なけ)き其頃(そのころ)北条(ほうてう)  氏康(うちやす)に訴(うつた)へて再(ふたゝひ)真言(しんこん)の霊区(れいく)に復せしむとそ 滝不動尊(たきふとうそん) 金剛寺(こんかうし)の東二丁あまりにあり此境(このち)後(うしろ)は石神井川(しやくしかは)  に臨(のそ)めり寺(てら)を正受院(しやうしゆゐん)と号(なつ)く伝云(つたへいふ)弘治(こうち)年中 和州(わしう)竜門(りうもん)の奥(おく)に  学仙坊(かくせんはう)といへる僧(そう)住(すむ)て不動尊(ふとうそん)の法(ほふ)を修(しゆ)する事(こと)年(とし)あり或時(あるとき)霊夢(れいむ)  を得(え)て東国(とうこく)に来(きた)り此所(このところ)に滝(たき)のありけるを観(み)て是(これ)を幸(さいわひ)とし  其傍(そのかたはら)に庵(いほり)を結(むす)ひて不動(ふとう)の法(ほふ)を修(しゆ)せりしかるに其年の秋(あき)洪水(こうすい)に  て此河(このかは)夥(おひたゝ)しく水かさまさりしに水中(すいちう)に光(ひかり)あり水(みつ)落(おつ)るの後(のち)彼(かの)  光(ひかり)のさしけるあたりを求(もとむ)るに不動(ふとう)の霊像(れいさう)を得(え)たり不例(ふしき)に感得(かんとく)  せしをよろこひ即(すなはち)こゝに安置(あんち)し奉(たてまつ)るとそ 自得山(しとくさん)静勝寺(しやうしやうし) 曹洞派(さうとうは)の禅宗(せんしう)にして稲付(いなつけ)にあり此地(このち)は太田道潅(おほたたうくはん) 【左丁】  間讌(かんえむ)の居跡(きよせき)なり道潅(たうくはん)亡(ほろ)ふるの後(後)は狐兎(こと)のぬしとゝなりけるを中頃(なかころ)   萍水(へいすい)浮雲(ふうん)の僧(そう)あつて此所(このところ)に草庵(さうあん)を結(むす)ひ道潅寺(たうくはんし)と号(かう)す是(これ)当(たう)  寺(し)の草創(さう〳〵)なり其後(そののち)太田家(おほたけ)より当寺(ちうし)を建立(こんりふ)ありて静勝寺(しやうしやうし)  と改(あらた)む  観音堂(くはんおんたう)《割書:本尊(ほんそん)十一面観音は越(をちの)泰澄(たいちやう)の作(さく)|にして道潅(たうくはん)入道 崇尊(そうそん)の霊像(れいそう)也》影堂(えいたう)《割書:道潅(たうくはん)入道(にうたう)の|木像(もくさう)を置(をく)》  五葉松(こえふのまつ)《割書:南(みなみ)の方(かた)畑(はたけ)の中(なか)に有(あり)|道潅(たうくはん)手植(てうへ)の由(よし)云伝(いひつたふ)》亀(かめ)か池(いけ)《割書:寺(てら)の後(うしろ)の方にありむかし此池(このいけ)より|霊亀(れいき)出けるより号(な)とすと云ふ》  抑(そも〳〵)太田(おほた)左衛門(さゑもん)太夫(たいふ)資長(すけなか)は《割書:或(あるひ)は持資(もちすけ)と号(かう)す初(はしめ)の名(な)は源六郎(けんろくらう)世(よ)に左金吾(さきんこ)と称す薙髪(ちはつ)|して道潅(たうくはん)又 春苑(しゆんゑむ)香月(かうけつ)静勝(しようしよう)と号(かう)す永享(えいきやう)四年壬子 相州(さうしう)》  《割書:に産(うま)|る》源三位 頼政(よりまさ)十世の孫(そん)備中守(ひつちうのかみ)資清(すけきよ)入道 道真(たうしん)の子(こ)なり扇谷(あふきかやつ)上杉(うへすき)  修理(しゆりの)太夫(たいふ)定政(さたまさ)に属(そく)し江戸城(えとしやう)に住(ちう)す父(ちゝ)と共(とも)に武毀(ふき)勇烈(ゆうれつ)関東(くはんとう)  に覆(おほ)ふ故(ゆへ)に人(ひと)唱(よ)んて真潅(しんくはん)と称すまた城(しろ)を築(きつ)くに巧(たくみ)なり東国(とうこく) の城(しろ)多(おほく)は道潅(たうくはん)の指図(さしつ)にして築(きつく)所(ところ)なり長禄(ちやうろく)元年武州(ふしう)江戸城(えとしやう)を  草創(さう〳〵)し城中(しやうちう)に燕処(えむしよ)の室(しつ)をいとなみ静勝(せいしやう)と名(な)つく西(にし)を含雪(かんせつ)  といひ東(ひかし)を泊舩(はくせん)と称(しよう)す和漢(わかん)の書(しよ)を集(あつむ)る事(こと)幾千巻(いくせんくはん)といふを